|
※以下はつどいにおいての全発言を記載したものです。<続き 2> < 1 2 3 >
私がワールド・ピース・ナウに参加した理由――尾崎真理子さん(大学生)
尾崎)
こんにちは。私が今日、なぜここに来たかということですが、私は昨年、ゼミで憲法九条に関係した論文を書いたのですが、その論文を書く過程で反改憲ネット21が出している『Q&A日本国憲法のよみ方』を読み、質問を送ったことからおつきあいしていただいています。そして、アース・デイの日(4月19日)にあったワールド・ピース・ナウで初めて反改憲ネット21の方と直接お会いし、そこでいきなりパネリストをお願いされて、今日ここにいます。(拍手)
仲間がいることが、運動に参加して一番良かったこと
尾崎)
私がどうしてイラク攻撃反対の活動をするようになったかということですが、はじめからそういう問題には関心がありました。しかし、一人で集会に行くだけでは、それで終わってしまうんですね。行って、聞いて、そうだなと思って帰ってきて終わりみたいな…。デモもそうですね。政党とか労働組合とか団体が多いですから私みたいに個人で行っても何となく盛り上がれなくて終わってしまうというのがありまして、もう少し自分から何かしたいという思いがありました。その時にワールド・ピース・ナウという団体を知って、ボランティアとしてチラシ配りなどのお手伝いをしていました。
やってみて一番いいことは、仲間がいるということです。小さい意見の違いはあっても、同じことを目指している仲間がいることが一番うれしいです。それでいろいろお話しもできるし、お互い勉強にもなりますし、そういうことが一番いいことだと思います。
いまはワールド・ピース・ナウとしては、イラク戦争が終わって活動が一段落ということで、有事法案に反対するキャンペーンを、ワールド・ピース・ナウの中心となっている人たちでやっています。
人の権利を守ることの対極にある有事法制
尾崎)
私自身は、いまイラク戦争のようなことが二度と起こらないためにどうしたらいいのかと考えています。私は自分にとって身近な、家庭や学校や職場で私自身の権利や、人の権利がきちんと守られるような社会にしていくことが結局平和につながると思っています。そういうことで何かしていきたいと思っています。
人の権利をきちんと守るということの対極にあるのが有事法制だと思います。先日、『有事法制Q&A』を読んでいて思ったことが二つあります。一つ目は、多くの人は有事法制といっても現実感がないということです。私もそうですが、この法案が通ったら、何が問題で、自分の生活がどうなるのか分かっていません。たとえ分かっても実感が無いというか…。私が友だちに「ついに有事法制が衆議院を通ってしまった」と言うと、友だちは「大丈夫だよ。従わなければいいじゃん」と言うのです(笑い)。私もそうですが、まさか本当に戦争になるはずがないとどこかで思っているところがあります。
もう一つは、有事法制がつくられたら学校や職場でもそういうことが当たり前になってしまう、私たちの意識がそれに慣らされてしまうのではないかと心配です。先ほど、人権が制限されるというお話しがありましたが、「有事だから仕方ない」ということが当たり前みたいになってしまう、おかしいと思わなくなってしまうことが恐いと思います。簡単ですが、問題提起としては以上です。(拍手)
イラク攻撃が終わっても、アメリカや日本が変わらない限り何も問題は解決しない
神野有生さん(大学生)
神野)
みなさん、こんにちは。僕は尾崎さんと4月19日にバッタリ会って、ノリで「一緒にやろうよ」となって、ついていったら今日の司会の方にバッタリ出会って(笑い)、そこで「パネリストをやってくれない?」と言われてしまって、二度とやらないかもしれないこんな高いところにいます(笑い)。マイクなんてカラオケの時くらいしか持ったことがなくて、歌えばいいのかなという感じです(笑い)。
僕がイラク戦争に反対して立ち上がったのは、戦争が終わりかけの時でした。僕が立ち上がったのは、環境問題が動機です。地球環境問題は、間違いなく60億人の命が危機にさらされる問題だと思います。食糧や水やエネルギーが無くなってしまったら平和なんてあり得ないと考えています。せっかく冷戦終結後、92年に「地球サミット」が開催され、そして「京都会議」を経て、だんだんと世界各国が一緒に協力して環境対策を進めようという雰囲気ができてきたと思います。しかし、アメリカが「京都議定書」を単独離脱したり、イラクを攻撃することによって、その流れを完全に妨げています。ただでさえ遅れがちな環境対策を、さらに遅れさせてしまうのではないかと思い、そういう理由で僕はイラク攻撃に反対しました。だからイラク攻撃が終わっても、アメリカや日本が変わらない限り何も問題は解決されません。したがって攻撃自体が終わっても運動をやめる理由はどこにもないと僕は考えています(拍手)。
効果のある戦略的な運動を
神野)
僕が運動に立ち上がってみて気づいたのは、反戦運動やデモというと、すごく暗くて闘争的で、みんな怒りに満ちた眼差しで叫んでいるイメージがあったのですが、どうも最近はそうではないということです。平和は平和でないとつくれないよねとか、明るく楽しくやっちゃおうよとか、デモ自体をパレードにして楽しんじゃおうとか、そういう流れが若者のあいだにも全体にもあると思います。僕は、そういう流れを広めて大きな力にしていきたいと思います。
僕は、実際活動していく際には、どれだけ効果がある運動にしていくかを最重視して、戦略的に運動をしていきたいと思っています。「効果」というのは具体的にどういうことかと申しますと、三輪先生などがおっしゃったように広めること、知らせること、そのための戦略としては情報があまり統制されないインターネットを活用していくことです。また、日本人の性質として海外に憧れているところがあるので、例えば、アメリカ人に何か言われたら「あ、そうなのかな」とか思うし(笑い)、「ヨーロッパの人はかっこいいな」とみんな思うことが多いと思います。だから海外のNGOに日本を思いっきり批判してもらったらどうでしょうか。海外のNGOに連絡を取って「日本はこんなことをしているよ。あなたたちが批判してくれたら日本人は従いますよ」と言ったらどうだろうか。そういう戦略を、奇抜な〃桶狭間みたいな戦い〃を繰り返して(笑い)、新しい活動の形態をつくっていけたらいいなと思っています。
政府・与党はなぜ日本を軍国化したいのかを是非考えたい
神野)
最後にみなさんにお聞きしたいのは、有事法制に関してです。どうして政府・与党や制服組はそんなに戦争したいの? 軍国化したいの? その感情は何となく分かる気もするけれども、どこから湧いてくるのかというところです。有事法案について「ここがいけない、あそこがいけない」という具体的な話を聞いているうちに、やはり政府・与党や制服組がまやかしながら、秘密にしながらとか、セコイことをしながらジリジリと軍国化の方向に動いていってるのだなあと感じました。なぜ彼らが軍国化したいのか、そういう〃軍事への憧れ〃と言っていいのか分かりませんが、その原因がどこにあるのかを是非考えていきたいと思います。ありがとうございます。(拍手)
2.ディスカッション
新たな良心的軍事費拒否裁判への支援を!――野村晋一さん(良心的軍事費拒否の会)
野村)
「良心的軍事費拒否の会」の会員の野村です。5月20日に、東京地裁に有事法制反対の裁判を提起します。
有事法制は、マスコミが報道しているような「北朝鮮にたいする防御や備え」ではありません。政府の判断で予測しさえすれば、日本から先制攻撃を仕掛けることを可能としているからです。警察予備隊が創設されて以来、自衛隊となり、そして周辺事態法、テロ対策特措法。そして有事法制です。これらは再軍備に向けた不可分一体の行為と見るべきです。有事法制は、国家総動員法の焼き直しです。この道は、いつか来た道ではないでしょうか。このような思いから提訴いたします。弁護を引き受けて下さったのは、日本弁護士連合会(日弁連)で有事法制問題に関わっておられる内田雅敏弁護士です。
私ども「良心的軍事費拒否の会」は約三十年前に発足しました。代表として会をリードして来られた石谷先生は昨年天に召され、ここに参加されておられるオゥノさんを代表として、再出発をいたしました。私たちは、確定申告や還付請求の際に国家予算の軍事費分(昨年だと約6.1パーセント)を不払いし、それを通じて皆さんに人殺しである戦争に加担することを拒否しよう、と訴える活動を続けています。
約二十数年前、日本で四つほどの裁判が起こされました。そのうちの一つの裁判は、会の主だった人たちの手で、最高裁まで争われました。これらの裁判を踏まえ、今回は新しい法理論に基づいて裁判を起こそうとしています。その一つは、平和的生存権の自由権的側面という考え方です。憲法前文に規定されている平和的生存権の精神は、憲法十三条(個人の尊厳)や憲法十九条(思想および良心の自由)の一内容となって具体化されていなければなりません。敗戦直後にあった絶対的な非戦の平和を求める市民の内心の自由を、違憲の疑いの濃厚な政府の行為によって外から侵害してきた点を争いたいと考えています。今日の右傾化は、政府が市民の平和に対する感覚を少しずつ削り取ってきた結果です。政府が再軍備に向けた不可分一体の行為によって、市民の平和に対する感覚を麻痺させてきた点を捉えて、国に精神的損害の賠償を請求しようとしています。もちろん、「訴えの利益」が必要ですから、私は今回、軍事費拒否をして実際に差し押さえられ、実際に精神的苦痛を受けたことに基づいて訴えを起こします。
現代の国家総動員法=有事法制に反対を!
野村)
聞くところによりますと、小泉首相の祖父はいわゆるヤクザだったそうですね。ヤクザであったこと自体は問題ではありません。しかし悔い改めて欲しいと思います。悔い改めれば、素晴らしい人になることができます。悔い改めないで「備えあれば憂いなし」と言うのは、いかがなものでしょうか(聴衆の笑い)。ヤクザの抗争であれば、相手が日本刀を持ってくればこちらはピストルを用意しなければいけません。しかし、市民の感覚は違います。相手が日本刀を持ってくれば、私たちはまず相手と落ちついて話し合おうとします。私たちは非武装の平和を実現したいと願っていますが、無茶なことを主張しているのではありません。将来、軍隊に代わる世界警察をつくろうという提案も出されているのです。みんなが本気になれば、私たちは非暴力の世界を実現することができるのです。今の軍隊で形だけの世界警察を作っても、市民を抑圧する恐ろしい存在になってしまいます。ですから、まず軍備をなくす真剣な努力が必要なのです。私はこのように考えてこの裁判を起こそうとしています。市民を欺き、市民を抑圧する有事法制に反対したいと思います。備えあれば、かえって市民に憂いがあります。この道をいつか来た道にさせないでください。ありがとうございました(拍手)。
武力で民衆の安全や平和は守れない! 世界各地と沖縄と連帯してたたかいましょう!
尾形憲さん(テロ特措法・海外派兵は違憲 市民訴訟の会)
尾形)
私が住んでいる埼玉県入間市には、陸軍航空士官学校がありました。私はそこに二年間いましたが、当時の仲間の大半は特攻で死にました。彼らは二十歳前後でした。しかし彼らも私自身も、アジア二千万人を殺した加害者であるという事実は否定できません。そういう反省にたって私は「わだつみ会」やピースボートなど、様々な平和運動に携わってきました。
昨年7月11日、原告253人をもって政府を相手にさいたま地裁に提訴しました。しかし、わずか三回の公判で結審です。司法の独立はどこにいったのでしょうか。私たちは、この裁判官をやめさせるための弾劾の申し立てをしようと思っています。6月25日が判決ですが、おそらく却下されるでしょう。しかし私たちは控訴し、さらに最高裁までたたかいます。
9・11事件は何よりも、アメリカがあれだけの絶大な武力をもっていながら、所詮武力によって民衆の安全や平和は守れないことを如実に示しました。私たちは昨年末、二週間ほどアフガニスタンに行って被害の実状をつぶさに見てまいりました。今でも、罪もない子供たちがクラスター爆弾や劣化ウラン弾の被害を受けて殺傷されています。カルザイ政権ができて一年半になりますが、内乱が続き、カルザイ大統領はカブールの外にも出ることができません。アメリカの基地はロケット砲の攻撃を受けるというような状況が続いています。アフガニスタンではオサマ・ビンラディンやオマル師が目標にされましたが見つかっていますか? イラクも同じです。イラクでは大量破壊兵器が口実だったのですが、全然発見されていません。アメリカのアフガニスタンやイラク攻撃は一体何だったのでしょうか? それにたいする日本の政治は一体何だったのでしょうか?
私は5・15デーに沖縄に行ってまいりました。そこで「平和行進」に参加し、翌日は総領事館の前でリレートークをし、「ヤマトの人たちは沖縄を忘れてはなりません」というシュプレヒコールをあげました。
政府は、有事法制がないと日本が武力攻撃されると言いますが、どこが何のために日本を攻めるのでしょうか? 中谷前防衛庁長官は「日本が攻められることはあり得ない」と言いました。日本が攻められるとしたら、アメリカが「ならず者国家」と勝手に決めた北朝鮮等にたいして先制攻撃をする際に、沖縄の米軍基地や原発にミサイルが撃ち込まれるということが、ただ一つ考えられることです。そうすると、どうなるでしょうか。日本中が放射能まみれになってしまいます。 テロ特措法違憲訴訟にたいして、ノーム・チョムスキーさんやチャールズ・オーバービーさんなど海外からのメッセージがたくさん来ています。いまこそ世界各地の活動家の人たち、そして沖縄と連帯してたたかいましょう。(拍手)
イラク反戦に比して有事法制反対運動が盛り上がらないのは?
大学生・男性)
僕は、有事法制が衆議院を通過してしまったことが非常に悔しいです。周辺事態法の時には反対運動が盛り上がったし、国会のなかでも対立していたと思うのですが、今回は粛々と決まったことが悔しいです。
イラク攻撃にたいしては反戦運動が盛り上がりましたが、戦争をするための有事法制に反対する運動はあまり盛り上がらないまま衆議院を通ってしまった。それはなぜなのか。まるで天国と地獄だと思いますが、なぜこうなってしまったかを考える必要があると思っています。パネリストの方、会場の方のご意見を聞きたいと思います。
イラク攻撃によって、結果的にイラク国民は解放された?
大学生・男性)
三輪先生の「日本がアメリカの先制攻撃戦略にコミットしていく」というお話しを聞いて、有事法制は、「自衛のため」ではなく先制攻撃するためのものだと思い、あらためて許せないと思いました。質問ですが、「アメリカのイラク攻撃には反対だが、結果的にはイラクの国民は解放されたのではないか」という主張があります。この主張についてのご意見をお願いします。
有事法制は憲法違反。必要なのは有事法制ではなく、紛争を起こさせないこと
オゥノさん・良心的軍事費拒否の会)
今度の有事法制は、そもそも平和憲法に違反するものです。本当に憲法九条を守るならば、必要なのは有事法制ではなく平和促進法というものではないかと思います。イラク戦争にしても、イラクともアメリカとも平等に話ができるのは日本でした。しかし仲立ちをとらずに、簡単に一方側に加担してしまいました。これではいけません。紛争の起こりそうな所へ人材を派遣してその仲立ちをすること、そのために人材を育成し、そのための予算をとること、これが平和憲法を持った日本がすることだと思います。それがあれば有事法制は全く必要ありません。
自衛隊法改悪案、民主党案、NHK報道についての疑問
教員・男性)
三輪先生に質問します。自衛隊法改悪案九十二条の三に「予測される事態」において自衛隊が展開予定地域で陣地を構築できるとしています。その際に自衛隊は武器使用ができます。「予測される事態」について福田官房長官は「相手がミサイルを装填したり、軍隊の非常呼集をしている時だ」と言いました(2002年5月16日)。つまり、日本国内にまだ外敵がいない時に自衛隊が武器使用できるということです。これは、どうみても「陣地構築」に反対する日本国民や在日外国人にたいして銃を向けることではないかと懸念していますが、いかがでしょうか。
もう一つの質問は、民主党の対案についてです。当初「自発的意志にゆだねられるのが国民の協力だ。強制にあたることがあってはならない」と書かれていました。もちろん罰則つきである以上「強制」なので、その文言はおかしいと思いますが、与党との折衝で「強制にあたることがあってはならない」という文言すら消えたようです。この経緯について、もし分かればお聞きしたいと思います。
きょうNHKの本当にひどい世論調査の結果をみなさんに紹介したくてチラシをつくってきました。5月12日の「ニュース7」で「有事立法は必要」は66%、「反対」は21%です。しかしよく質問項目を調べてみると、「北朝鮮が核兵器保有を認めたことをどう感じるか」という質問が前にあります。「大いに不安だ」が61%、「多少不安だ」が30%です。さらに「日本政府は米韓などと協力して北朝鮮に核兵器の放棄を求める方針だが、政府はどういう姿勢で解決を目指すべきか」という質問も用意して、「軍事的オプションも」というのを初めて選択肢に入れました。有事立法が出来たら強腰で交渉できますというような誘導をしておいた後に、有事立法は必要ですかと聞くのがNHKの世論調査です。
愛国心を強調した中教審の動きが、国を守る気概教育とからみます。中教審の教育基本法改悪の、愛国心盛り込みの抗議先をチラシの四ページに載せておきましたので、ぜひ抗議の声を寄せて下さい。ありがとうございました(拍手)。
「北朝鮮脅威」論への対応が急務では?
大学生・女性)
最近とみに感じることですが、北朝鮮がスケープゴートにされている気がします。少し前ならば「有事法制は危ない」「憲法を変えて軍隊を持つことはいけない」というのが、ある程度共通合意としてあったと思います。ところが最近は「北朝鮮が攻めてくるかもしれないから軍隊は必要だ」「日本が攻められないようにするために、アメリカに協力して助けてもらわないといけない」という意見が氾濫しています。
それから、有事法制に関する報道そのものも一年前と比べるとほとんどなされていないように思います。有事法制が衆議院を通過してしまった翌日の『毎日新聞』の一面トップが、青森県知事が辞職したという記事でした。その下に少しだけ有事法制の話が出ているだけで、非常に驚愕しました。
「北朝鮮ヤバイ」という流れを何とかしないと、有事法制反対も憲法改悪反対の運動も大変なことになるのではないかと危惧していますがいかがでしょうか。(拍手)
アメリカによる先制攻撃を二度とやらせてはいけない
男性)
私は中野革新懇に属しています。また「有事法制を許さない中野区連絡会」という団体としてもイラク攻撃や有事法制に反対する運動をつくっています。
先ほど神野さんが「効率を考える」とおっしゃいましたが、私も街頭宣伝やビラ配りや署名活動をしていて、効率が悪いなと、何とかもっと効率を良くしたいと思います(笑い)。あとで神野さんのご意見も聞きたいと思っています。
いまあまりにも私たちの目の前に有事法制が生々しく迫ってきたので、私たちの関心が有事法制に集中することは分かります。しかし、アメリカがイラクにたいして先制攻撃という無法なことをやりましたが、同じようなことがさらに繰り返して起こりうるということが心配です。
もしそのようなことが二度と起こらないというのであれば、有事法制を発動することはほぼ無くなると思います。その意味で、私はアメリカによるイラク先制攻撃というものをもう一度見直す必要があると思います。あれだけ戦争前に国際的な反対運動が盛り上がり、アナン国連事務総長も「国連憲章が認めない戦争行為である。もしそれが行われれば国連を侮辱するものだ」と言いました。アメリカのイラク攻撃は、国連を侮辱しっぱなしです。
私たちはこの先制攻撃を二度と許さないためにはどうしたらいいのか。やはりアメリカ自身が国際社会においてけじめをつける必要があると思います。私たちは、もし国内で刑法に違反するような強盗が発生したら直ちに捕らえて裁判にかけ、それなりの償いをさせます。損害にたいしては損害賠償を払わせるという償いもあります。アメリカのイラク攻撃は、国連憲章という大事な大事な国際法に違反して行われた戦争です。これは泥棒みたいな行為ですが、いまアメリカはさらに開き直り強盗をやっているではないですか。新しく米英が国連決議を提案しましたが、その中身をみるとイラクの石油の売り上げを自分たちで自由に使おうというものです。もちろんイラクの復興のために使うのでしょう。しかし、無法な戦争をやったのはアメリカです。だから復興費用は全部アメリカがもつべきです。石油の売り上げがあるとすれば、それは100パーセント、イラクの国民に帰属すべきものであって、アメリカが勝手に使うことはできません。国連を中心に復興事業をやるべきであって、アメリカは直ちにイラクから撤退すべきです。それは最低限のけじめです。
いま北朝鮮の問題がいろいろ起きていますが、いま一番危険なのはアメリカが北朝鮮を先制攻撃することです。北朝鮮が日本やアメリカに攻めてくる危険ではないと思います。その意味でも、絶対にアメリカを抑え込んでいくという国際世論をもう一度盛り上げる必要があると私はつくづく思います。そのために、神野さん、どういうふうにしたら効率のいい宣伝ができるか(笑い)、みなさんも含めて知恵をかしていただきたいと思います。(拍手)
どんなに悪い政権でも、外から武力で転覆するのは間違い――丸山さん
丸山)
まず「イラク民衆が解放されたからいいではないか」という意見についてですが、武力で他国の政府を転覆させるというのはどうなのでしょうか。例えば「日本の政治は大変けしからん」、だから「日本国民を解放する」といって他国が攻めてきたらどうでしょう。それは、やはりおかしいと思います。自分たちの国は自分たちで解放するべきです。実際、イラク内から変えていこうという動きもありました。どんどん変わってきていたわけです。それを勝手にアメリカの基準で「これはけしからん」と決めつけて、武力攻撃をしました。どんなに悪い政権であっても、それを外から武力で転覆するのはやはり間違っていると思います。
北朝鮮と国交を結んでこなかった日本政府の問題を不問にしたアンチ北朝鮮キャンペーン
丸山)
それから、北朝鮮の問題ですが、先ほど教員の方が紹介されたNHKの世論調査のことと、大学生の方が言われたこととを結びつけて考えると、メディアが相当にアンチ北朝鮮キャンペーンを行ったことの問題は大きいと思います。いろいろな「元工作員」や「元スパイ」がメディアに出てしゃべったり書いたりしていますが、だいたい「007」がメディアに出てきて何かしゃべるということに、どんな信憑性があるのでしょうか(笑い)。ですから、きちんとした裏付けが不可欠です。ところが、そうはなっていません。裏付けもなく、信用して大きく取り上げる、そこで出てきた映像を一方的に取り上げる。これはやはり、おかしいと思います。
もう一つ考えるべきことは、いわゆる「北朝鮮問題」はどこから始まったのかということです。さかのぼれば日本が植民地にしていた朝鮮半島の問題です。そして次に、日本の敗戦後、日本によって支配されていた朝鮮民族がどうやって、国を建て、権力をつくっていくかということです。しかし、自分たちの独立政府を創ろうとしていた人たちが殺されるなど、複雑な経過を経て、南からと北からと二つの力が国を分断してしまったという歴史があります。
その後、1965年に日本はアメリカの影響力のもとに日韓条約を結びますが、その時、日本は「朝鮮半島における唯一合法な政権は韓国だ」とし、北朝鮮との関係を事実上閉ざしてしまいました。その後、南北会談が行われたり、90年代には韓国と北朝鮮の同時国連加盟も実現しました。実はその時が、日本にとって、北朝鮮との関係を正常化し、曲がりなりにも韓国と同じ関係を創っていくチャンスだったはずなのです。しかし、日本はそうはしませんでした。植民地支配から逃れた朝鮮民族が創った北朝鮮と韓国という二つの国との関係を修復しなければ、かつての戦争は終わっていないのですが、そういう対等な関係をつくることを怠ってきたのが日本だったと私は思います。隣の国である北朝鮮と国交がないのはおかしいに決まっています。
拉致問題について、北朝鮮を弁護すべき何ものも持ちません。しかし、日本が北朝鮮とそのような関係しかつくってこなかった結果として、あるいはその中で拉致問題もあったということはきちんと見ておく必要があるだろうと思います。国交交渉のなかで、拉致問題もきちんと議題に載せ、問題を明らかにさせていくことが重要です。私が危惧するのは、「拉致問題が解決しなければ話し合いもしない」と主張する勢力ですが、その意見は、「外交」というものを否定した意見です。「話し合いができないから爆撃しかない」という論理は、イラクでも使われたではありませんか。気をつけないといけないと思います。どんな問題であれ、話し合いで解決していく。それが国連憲章と日本国憲法の立場です。
夏にピースボートの方が北朝鮮に行くと言われていましたが、そのようにいろいろなかたちで民衆レベルでの連帯を広げることによって、反北朝鮮キャンペーンがまかり通っている状況を変えていかないといけないと思います。
いままでの戦争と全く違う今回の戦争
丸山)
もう一つ、「イラク復興」や北朝鮮の問題に関して考える上で、イラク戦争が今までの戦争と全く違うものであることを是非認識しておいた方がいいと思います。
イラク戦争の場合、米軍はもはや地上戦を行う必要がないくらいまで空爆で叩きました。その上で、あらかじめGPS(カーナビのようなもの)でイラク国内のどこに何があるのかを見てイラク領土に侵攻していきました。このような外科手術的な戦争だったのです。まさにコンピューターとGPSによる戦争でした。このような今の「新しい戦争」と言われるものの持っている意味、その先制攻撃の持っている意味を考えると、あらためて有事法制の恐ろしさを感じます。
「どこかの国が日本に攻めてきて、どこかの海岸線が血の海になる」とよくシミュレーションで言われますが、そのようなことは想定されていないだろうと思います。むしろ、アメリカが北朝鮮を先制攻撃するときに日本も動きやすい体制をつくっていく、あるいは攻撃した後に日本が占領軍の一翼を担うことなどを考えて、政府は有事法制をつくろうとしているのだと私は思います。(拍手)
矛盾しないイラク反戦と有事法制賛成――尾崎さん
尾崎)
最初の質問の「イラク反戦の運動は盛り上がったのに、なぜ有事法制反対の運動はあまり盛り上がらないまま法案は衆議院を通ってしまったのか」ということですが、私は「なぜ?」というより、むしろこの流れが普通かなと思います。というのは、私はずっと渋谷のハチ公前でシールを貼って投票してもらう「市民投票」をやっていました。「投票」の質問は三つあって、一問目は「アメリカ主導のイラク戦争に賛成、反対、分からない」、二問目は「この戦争を支持する小泉首相を支持する、しない、分からない」というものでした。多くの人が参加してくれて「反対」が圧倒的に多いのですが、「賛成」もけっこういました。なぜかというと北朝鮮のことが主な理由です。「北朝鮮から日本を守ってもらうためにアメリカには反発できない」とか「イラク戦争には反対だけど、日本政府としては日米安保を重視しなければいけないから小泉さんの立場は理解する」という意見が出ました。
イラク戦争が終わった後に、今度は質問を変えて「市民投票」を行いました。「今後も世界平和のためには先制攻撃は認められると思いますか」という項目をつくったのですが、「いいえ」も多いのですが、「はい」も結構ありました。その理由はやはり「北朝鮮だけは先制攻撃してもよい」などです。北朝鮮の問題はやはり大きな問題です。メディアがコントロールするという面もあると思いますし、先ほどおっしゃっていたような歴史の流れについて私はよく知らないので正しく理解していないというのもあると思いますが、「なぜイラク戦争反対運動があれだけ盛り上がったのに、有事法制はこうなんだ」というのではなくて、最初から北朝鮮の問題があって、当然のこととして「北朝鮮の脅威に備えるための有事法案は必要」というような流れがあったと私は思います。
神野)
先ほど、北朝鮮がうまく使われているとおっしゃっていたのはその通りだと思います。奴等は頭がいいので、僕たちも頭良く、出し抜いて先制攻撃してやりましょう(笑い)。以上です。
「北朝鮮脅威」論をどう受けとめているか?
司会)
北朝鮮は恐いというイメージが煽られていること自体についてはどう思いますか?
神野)
恐いとは思いません。むしろ仲良くしようよ、と思います。たぶん今の若者はそう思っていると思います。そう思っていない人もいたかな(笑い)。でも、僕が思うのは、これから21世紀の外交としては、一つは環境を軸とした国際関係をつくっていくこと、それから一国対一国の関係ではなく、世界の中で日本の評判をあげていけば攻撃なんて受けることないと思っています。
尾崎)
私はけっこう理解できます。感情的に「日本が攻められたらどうするの?」と言われたら、「う〜ん…」と思ってしまうところが正直言ってあります。「いきなり日本を攻めることはない」「それに先立つ政治があるんだから」というのも分かるのですが、しかし「北朝鮮がミサイルを日本に向けて撃った」とか「核兵器を保有している」と聞くと、やはり恐いと思います。もしかしたら私もメディアにコントロールされているのかもしれませんが、やはり感覚的に「攻められたらどうするの」と言われたらどうしよう? と思ってしまうのは、私は理解できます。
司会)
「市民投票」で、北朝鮮は恐いというのは若者が多いのですか? それとも年輩の方が多いのですか?
尾崎)
年代に関係なく「北朝鮮は恐い」という人は多かったですね。中には、「戦争についての実感がないので、私は戦争に行くんだ」という人もいました。
神野)
僕は尾崎さんより「市民投票」の経験が少ないのですが、渋谷とかでやっていると、いまどきの女子高生が「何?何? シール貼るの? 戦争? はんたーい」というのが多かったです(笑い)。
|