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「テロ」の背景を真剣に考えることが大切
「国連による解決」の主張は反戦運動にたいする背信行為
大学生・男性)先ほど、ファティマさんの発言のなかで、テロの背景にあるものを考えないといけないとおっしゃっていましたが、9月11日の「反米ジハード」、同時多発テロの背景にあるものを真剣に考えないといけないと自分は思っています。中東の方で、アメリカがビルを爆破されて喜んでいる人がいるということでしたが、アメリカが中東でイスラエル寄りの政策をとってきたことが恨みを買っているのではないかと思います。
最近、いろんな集会に出て社民党系の集会にも参加したのですが、共産党も含めてそうなのですが、「国連のもとでの法による裁き」と一貫して主張しています。法によって裁くのだから、一見すると正しいことのように聞こえるのですが、国連といっても中核をなしているのは空爆の実行者であるアメリカやイギリス、腹黒いロシアや中国といった常任理事国なんですね。そもそも、国連という枠組みが公正と言えるのか疑問があります。
第二点は、「法による裁き」という発想は、自分たちが「善」で「文明vs野蛮」という構図を前提にしているわけです。自分たちが絶対的な「善」で、相手が「野蛮」、「野蛮」をつぶすのは正しいという発想に立って一方的に裁く。非常に糾問的だと思います。アメリカが中東などで行ってきた政策や、9月11日の反米ジハードの背景にあるものを加味することなく一方的に裁くということで、とても公平とは言えないという点で、非常に疑問をもっています。共産党は、国連で解決しようと言っていますが、国連で経済制裁を加えて、それでも解決しない場合は一定の範囲で軍事制裁もやむを得ないのだともいっています。
自分からすれば、共産党が言っている「国連による解決」というのは、一定の範囲で軍事制裁を容認するという点で反戦運動をやってきた労働者や学生にたいする背信行為だと思います。そのことについて憤りを感じます。以上です。
何を伝えなければいけないのか、何を批判しなければいけないのかの
目を失ってしまっている日本のマスコミ――会社員・男性
会社員・男性)二年前に「周辺事態法」が成立したり、「日の丸」が国旗、「君が代」が国歌になったりしていますが、私の基本的な立場は自衛隊の存在自体が憲法違反だと思っています。
まず、読売新聞が9月11日以降、ずっと一面のトップ記事で「解釈改憲は当たり前」、改憲しても構わない、と堂々と報道している。世界的な部数を誇る読売新聞がそんな報道をしても許される国になっている。自分が日本人であることが恥ずかしいと思います。
マスコミが恣意的に世界貿易センタービルに旅客機が二機つっこんだ映像を何度も何度も流すことによって、報復は当たり前、報復は構わない、誰が犯人か分からないけれどもそれを支援している国家にたいして攻撃をしかけても構わない、という世論づくりがされています。
たった一人、アメリカの合衆国議会において報復攻撃に反対した人は、カリフォルニア州選出の議員で、そのカリフォルニア州のバークリー市、ベトナム反戦運動の発祥の地なのですが、その市議会が報復戦争はよくない、アメリカはすぐ報復戦争は止めるべきだと決議したことによって、アメリカ全国からバークリー市にたいして「アメリカが一番ひどい目にあっているのに、何故そんな決議をするんだ。」と、市の施設や、ホテルなどの民間施設にたいして不買運動や利用拒否が行われています。アメリカは民主主義の国家だといいながら、本当は戦争をやりたくてやりたくてしょうがなかったんじゃないか、と思います。
先ほど元山さんも言われていましたが、あれが事前に起きることは、在日米軍基地はじめ世界中の米軍基地やアメリカ大使館にたいして「数か月後にテロ攻撃が始まる」と流されていました。ちょうど日本が真珠湾攻撃をしたときと同じように、アメリカはやられるのを待っていたかのように軍事行動を起こしました。そこには、かつて日本が、朝鮮戦争の時の「特需景気」で日本経済が復興したと言われているように、現在の大不況の中で、大企業が特需景気によって復活できるという思いがあったのではないか、と思います。
それから、タリバンにしても北部同盟にしても通常兵器を供給していた最大の国はアメリカなんですね。タリバンを育ててきたのはアメリカ。自分たちのいうことを聞かなくなったから捨ててしまう。そして、あらたに自分たちの都合のいい国家をつくろうとしている。いまイスラム最大の国家はインドネシアですが、インドネシアは東ティモール問題を抱えて、東ティモールが独立しようとした時にアメリカは裏で何をやったか。兵器を供与していたばかりでなく、裏で手を引いてテロをやらせた。また、南米では何をやったか。「国際テロ」だと国連総会でも非難されたにもかかわらず、国連決議を無視して95年に南米で戦争を起こして、その政府を追いやって自分に都合のいい政権をたてました。
いまの日本のマスコミは、何を伝えなければいけないのか、何を批判しなければいけないのかの目を失ってしまっている。映像として流れてくるものをきちんと自分で分析する、想像することが必要なのですが、そのようなことを許さない状況がつくられていると思います。
今年は、戦争を賛美するような教科書が文部科学省の検定を合格しました。実際に採用されたのは、東京都と愛媛県の養護学校施設と一部の私立学校で500冊近くでしたが、いまや当たり前のように日本を「普通の国家」、戦争をできる国家にするような策動がすすんでいます。それはもちろん、いまに始まったことではなく、敗戦後すぐからずーっとそうでした。そういう国なんだということを想起しながら、日本がどこに向かおうとしているのかをおさえることが必要だと思います。それを止められるのは私たちしかないと思います。
「文明vs野蛮の戦い」? イスラム教とは?――大学生・女性
大学生・女性)ファティマさんの話を聞いていて、最初アメリカや日本などの先進国と、中東の国とが根本的な考え方が違うと言われていてハッとしました。
大学で話をすると「どっちも悪い」という感じで、「日本は中立」と思う人が多いのですよ。でも、先輩に国連職員の人がいるのですが、先輩が「アメリカの空爆おかしい。反対」とメールで流したら国連から圧力がかかって、「国連の名で流したらダメだ」と言われたと聞いて、私は国連というのはおかしいなと思いました。
「どっちもどっち」と見ていると、自衛隊が派遣されたり「テロ特措法」が決まったりと、現状をどんどん認める方向にいっちゃうのがおかしいと思って、反対したいと思っています。
今日は、私たちが日本にいると見えない現実があると思って、実際お話を聞けるというので楽しみにしてきました。ファティマさんが「文明vs野蛮の戦い」となっている日本の現状をみてどう思われるかとか、「イスラム教は野蛮だ」と思っている日本人が多いと思うのですが、イスラム教はどんな宗教なのか、ファティマさんがいいなと思っていることを聞きたいと思います。
タリバンがやっていることは、イスラムの教えではない――ファティマさん
ファティマ)イスラムはどんな宗教なのか、ということについてですが、だいたい宗教とは何なのか、ということは、宗教を持つ国がかかわった問題について日本の人が一番最初に思うことだと思います。日本では、日常に宗教がかかわっている国ではないので、宗教って一体何なんだ、と思う人が多いですね。普段でも疑問に思っているみたいですが「その国はその国でそういう考え方があって、それはそれでいい」と思う方が多くて、質問する方が少ないんですね。それが、今回のようなことが起きると、何なんだ?となる。今回のことは、宗教や文化の違いを大きく考えさせられる事件でもあると思います。
みなさんは、たとえばタリバンの女性がすごいものをかぶって、何も見えないような格好をして、学校に行けない、ちゃんと勉強できない、就職できない、と、そういうことばかり聞いていると思います。
ですが、まず、タリバンというのは、イスラム教とは違う人々の集まりです。本人たちは、根本的にはイスラム教を実行していると思っているのではないかと思いますが、しかし中東のなかでもタリバンを支持したり、タリバンを認めている国はほとんどありません。その理由は簡単です。学校に行けない、女性が仕事をしちゃいけない、どんな人間が考えてもそんな不公平なことが普通に国の法律としてとおるはずがないし、そんなことはイスラムの教えではないからです。そこまで女性と男性を区別して、女性は何もしちゃいけない、私からすれば「何、それ?」と思ってしまうようなことです。イランでもタリバンはすごく嫌われています。
「悪いタリバンはつぶして当然」という主張はおかしい
ファティマ)ただ、ここのところを私はすごく主張したいと思います。先ほど、「アメリカの空爆によって、タリバンが崩壊していいじゃないか。やりたくもないのにやらされている人が自由になったからいいじゃないか」という意見が紹介されましたが、それは全く関係ない話だと私は思います。確かにタリバンは、イスラムということを間違って判断して、間違った信仰のしかたをしているグループではありますが、だからといって、アメリカが空爆する理由にするのはこじつけであって、私は全く関係ないことだと思います。「タリバンは悪い人たちだからつぶしたっていいじゃないか」というのは、話が全く別の問題だと思います。
イスラム女性がブルカ等を被っているのは?
ファティマ)次に、「イスラム教は野蛮」ということについてですが、たとえばタリバンの女性がブルカを着ていて、外に出ちゃいけないというのがありますが、みなさんの目から見て、いまの私の服装を見ても普通の格好をしていないと思うんですね。
じゃあ、それとこれとはどう違うのかというと、タリバンのイスラムと、中東のイスラム教とはどう違うのかについてですが、タリバンもイスラム教には何もないところから何かつくり出しているのかといえばそうではなくて、イスラムの教えでは、たとえば女性は肌や髪、首とか身体のラインを隠すように言われています。だから私はこういう格好をしているのですが、でもそれは、外に出ちゃいけないとか仕事をしちゃいけないとか、学校に行ってはいけないということでは全くありません。
それから、たとえば、女性は肌や髪、首とか身体のラインを隠すように言われていることについて、「女性と男性の価値を区別しているんだ」という方も結構いるんですけれども、そういう問題ではないんですね。
女性がヘジャブをするのは、中東では、女性というのは、自分の美しさを他の人に見せるものではないのだという考えをすごく持っているからです。それは、一番大切に考えているのは、家族のことなんです。女性が、自分の美しさを守って、自分の家族や夫にだけ、それを見せる。それは、どこが違うかというと、たとえば、日本では、女性と男性が知り合って結婚して、ともにずーっと暮らしていて、すごく分かり合っている二人だから、だんだんだんだんと女性は家にいるときは、もちろん人によってですが、結構楽になっていくじゃないですか。家にいるときは、化粧もしないで、あんまりきれいな服も着ない。でも、外出するときは、ちゃんと化粧して、きれいな服を着て出かける。それは、イラン、イスラム教の国と比べるとすごく逆なんですよ。
イスラムの女性って、化粧もしないで、何をしているんだ、変だなと思いがちなんですが、実をいうと、家に帰るとすごくすごくきれいなんです。本当に。イスラム教の国の家族のところにいって、家族のあいだだけだと、こういう格好をしなくてもいいということなんですけれども、本当に女性が自分の家族のために、自分の夫のためだけに自分を着飾っている。それを見て、夫は、この女性は私のために尽くしているんだな、と感じる。これは本当にあることなんですが、アメリカの離婚率は、50%だそうです。結婚した2組に1組が離婚しているということです。それに比べて、自分の目で見てきたことですが、イスラムのまわりの人たちは、10年後、20年後、30年後も家族がどうしてそんなに幸せにいるんだろう、女性もきれいでいるし、男性もすごくその女性を大事に思っていて、守ろうと思っていて、私の友だちの家族のところなんかにいくと、すごくラブラブなんですね。私と同じ歳の子どもがいる人の家族のところにいくと、本当にそんな感じで、だから、そういう家族を本当に守るという意味で、そういう一つの意味もかねて、ヘジャブというのはあって、けっして女性の自由を奪うとか、女性に何かを押しつけるということではまったくありません。それは、イスラム教のそれを着ている人が本当にそう思っている、というふうに理解していただきたいのです。
もちろん、このように説明しても日本の方から見たら理解しづらいでしょうし、そんなのこじつけじゃないかと思う方もいるのではないかと思うんですけれども、本当にイスラムの人は、そういうふうに思っておこなっているので、まったく、何かを無理矢理やらされていると思っている人はいないんです。
タリバン撤退を喜ぶ報道を見て感じること
ファティマ)また、先ほど、カブールからタリバンが撤退して、カブールの女性がブルカを脱いで、すごく喜んでいたというお話しがありましたが、私はそれは、あって当たり前の話ですし、それはあったのだと思います。なぜなら、同じ国に住んでいる人のすべてが同じ考えをもっているかといえば、そうじゃないですよね。いま日本がどう思っているのか。アメリカに賛成していて、そして、軍事活動を支援しようとしているなかで、ここにいるみなさんは、それに疑問をもっていて、少し違う考えをもっていて、ここにいらっしゃるんですよね。それと同じで、一つの国で、全員がまったく同じ考えをもっているという国というのはないんですね。私の国イランでも、私のように、本当に信じてやっている人もいれば、逆に、そんなことは思っていない、そんなことはしたくないと思っている人もいます。それは、人間個人の考えであって、人間どう考えるかは、個人の自由であって、それをたとえば、10人いるなかで3人とか4人が、無理矢理それをやらされないのであればヘジャブを脱いだと、だからといって、じゃあ国民全員がそういうことをしたくなかったのか、本当にやりたくなかったことなのかというと、それは全然違う話だと思うし、それは国それぞれ、人それぞれで、意見も違うと思います。
貧困と圧迫の中での一つの防衛方法――元山さん
元山)イスラムの人たちが、なぜ(ブルカなどを)被っているのかということについてですが、結論からいうならば、貧困と圧迫、侵略を続けられた一つの防衛方法として、そういうふうなことを考えた、という面もあるということです。
戦争が終わって、日本が負けて、そして、中国大陸に残った人たち、女の人たちは、服装をどういうふうにしたかというと、みんな丸坊主になり、顔には炭なんかを塗ったりしました。これは自己防衛のためであるし、夫のために自分の貞操を守ろうとした、これは事実であり、歴史があります。そういう状況のなかで人間は、姿を変えて難を免れようとするわけです。もちろん、イスラムの女性がすっぽりと布を被っている理由のすべてそうだということではありませんが、一理あると思います。
自分の価値観を見直すことの必要性を痛感――高橋さん
高橋)いまファティマさんから、ブルカをなぜ被るのか、イスラムの女性はそれについてどう考えているのかということをはじめて聞いて、なるほど、というか、そういうふうに考えるんだ、と思いました。私自身、「女性差別だ」といわれると、確かに女性の人権が認められてなくてかわいそうだなとも思い、困っていました。
それが、ファティマさんから、たとえば服装について、それは抑圧され、強制されてやるものでは全然ないのだ、家族をすごく大切にしていて、家族のため、夫や子どもたちの前では着飾っている、というのを聞いて、〃家族を大切にする〃という価値観にもとづいてやっている、それは何も否定するものではなく尊重しなければならない価値観だと思いました。
やはりそこは、西欧的というか、そういう価値観から見て〃女性が対等に扱われていない〃と感じているのであって、それって一面的ではないか、と思い、学ばされました。このことは、ぜひ、大学でも紹介していきたいなと思いました。
アルカイダについて、どう考えるか?――大学生・男性
大学生・男性)アルカイダについて、お聞きしたい。僕の知人が、イスラムのことについてメディアで流されていることは本当にうそっぱちだといってまして、イスラムのことについてそれなりに知っているんですね。
しかし、その知人にいわせると、アルカイダはイスラム教じゃないといってまして、僕もそうかなと思っていたのですが、実際、アルカイダの声明を読んでみますと、結構格調高いなという感想をもちました。たとえば、イスラム共同体を守るであるとか、そういうのをみると、昔のネズミ小僧のような印象をもっていまして、実際、イスラム圏の人は、アルカイダについてどう思っているのかを聞きたい。
イスラムの教えに背く、テロ・爆破――ファティマさん
ファティマ)イスラム教とイスラム原理主義、同じイスラムはついていますが、本当に違うものです。
なぜかといいますと、よく、テロとかゲリラがあって、それをイスラム原理主義がやったとテレビなんかで流れますが、イスラム原理主義とイスラム教とは、すごく違って、イスラム教というのは、宗教というのはみんなそうですけれども、人間が悪いことをする、悪い道にそれることを防ぐためにあるのであって、イスラム教では何がいわれているのかというと、〃人間、嘘をついてはいけない〃〃人間、人を殺してはいけない〃〃人間、人の悪口を言ってはいけない〃というような、普通の人が普通に考えて正しいと思うようなこと、そういうことを一つの本にして、一つの考え方にしている。それを宗教と呼ぶんですね。ですから、そこから考えると、イスラム原理主義がやっていること、テロであるとか、爆破とかやっていることは、まったく逆のことであって、何の罪もない人を殺したりとか、自分の主張のために他の罪のない人の犠牲はしかたがないのだ、それはジハードのためだからしかたがないのだ、というようなことは、本当に間違いであって、そんなことをテレビなんかで聞くと、本当にイスラム原理主義って何なんだと私なんかも思っていました。
私も小さい頃はイスラム原理主義というのを知らなくて、テレビでイスラム原理主義がなんかやったというのがでていて、イスラムという名前のつくのが、そんなことをやっていて、私は悲しい気持ちになって、イスラムという名前のつくところがそういうことをやるというのは、どう考えたっておかしい、と子どもながらに考えたことがあります。いまになって考えると、イスラム原理主義というのは、本当に信じられないことで、普通のイスラム教の人からすると、どうしてそういうふうに考えるのだろうと思いますし、それは、イスラム教というのを少し変えれば、人を操れるんじゃないかという考えもあったかもしれませんが、イスラム原理主義ということ自体が、新しくできたものです。
アルカイダについては、何をやっているのかということが問題であって、それがテロをやっているのであれば、それはおかしいということであって、アルカイダそのものについては、私は分かりません。
大学生・男性)正しいのかどうかというのは、誰が判断するのかなって、思うのですが。
ファティマ)イスラム教には、コーランというキリスト教でいえばバイブルにあたるものがありますが、そこで、すべて人間がしていかなきゃならないものというか、それをすることによって幸せになれる、人間が正しい道を歩く方法ということが書かれてあります。いろいろなことが含まれている本なんですが、イスラム教というのは、基本的には、それにしたがって信仰している宗教です。
イスラム原理主義やアルカイダというのは、コーランにしたがっているというのはあるんでしょうけれども、いまのイスラム教にたいしては、不服がある。もっとこういうふうにしていかなくてはならないということを思っている人たちが集まっているということだと思います。
アメリカの空爆は、イスラム全体にたいする戦争?――会社員・男性
会社員・男性)私の職場の人の意見を聞くと、結構タリバンに同情的な声が多い。たとえば、空襲を見ていて、太平洋戦争の末期に日本を焼け野原にし、原爆を落としたアメリカ軍の将軍たちというのもああいうものかなあということをいいながらタリバンに同情する。このへんかなりいまの学生さんたちとは違います。
ただ、そうはいっても対岸の火事という感じで見ています。その際に、アメリカがテロにたいする戦争というが、ビンラディン氏なんかはイスラムにたいする攻撃だという。それでアメリカ対イスラムの戦争かというので終わってしまう。私は、イスラムとの戦争という話ではなくて、アメリカの中東支配というか世界支配という問題があると思うのですが、ただ、じっさい、イスラムにたいする攻撃だということが、イスラム圏ではかなり説得力をもって受けとめられているような感じを受けます。そのへんが、イスラム教徒の方々は実際どのような感じで受けとめているのかといことをお聞きしたいが。
中東で起きている戦争のすべてにかかわっているアメリカ――ファティマさん
ファティマ)いま言われたことは、ほとんど正しいです。アメリカは、第二次世界大戦で勝利してあからさまに支配しているというわけではありませんが、少なくともすべての先進国からは認められている国であって、他の先進国からしても中国や中東諸国からも支持されている国ですね。そのなかで、世界中でどこがアメリカに反対しているかといったら、やはり中東くらい、それもいくつかの国くらいです。
そこで、アメリカが考えるのは、世界中で自分の国に反対している中東やその国がもっているイスラム教というのを自分の支配下におきたい。少なくとも自分にはしたがってくれる、協力してくれるかたちにもっていきたい。アメリカがそう思っているのは確かだと思うんですね。しかし、イスラム教の国の人というのは、それをのぞんではいません。中東の人たちは、アメリカが自分たちに敵対していると思っている。こういうなかで、アメリカとしては、中東で何か事件が起こって、それにアメリカがのりだして、たとえば今回のようにつぶすというのは、アメリカにとっては一石二鳥なんだという考え方をもっていますよね。アメリカからすれば、今回テロを受けて、報復としてタリバンをつぶすということでやっていますが、それプラス、タリバンがつぶれて、あわよくばそのまわりの国も打撃を受けてくれれば、少なくとも自分に反対してきた国の人たちが死んでいく、崩れていくという考えをアメリカはもっている。アメリカのことをそうとらえている人が、中東にはけっこういます。もちろん、全部の人がそうということではありませんが。
アメリカとしては、今回のことが起こって、また、今回のことだけでなく、アメリカという国は、これまでにも中東でいろんなことをしている。イランを自分の支配下においていたこともありますし、イラクを育てて、フセイン大統領にイランを攻撃させたりと。イラン―イラク戦争というのがありました。そのとき私はイランにいましたけれども、そのときにイラクを支援していたのはアメリカですよね。そのときはアメリカとイラクは仲が良くてイラクを支援していた。そのときにイランの人はどう思うかというと、イラクとイラクを支援していたアメリカを敵対視する。アメリカからすれば、自分は手伝ってはいるけれども、イラクがイランに戦争をかける、これにイランは防ぐしかないから戦争を仕返して、戦争になり、死ぬのは中東にいる中東の人々だけである。イラン人か、イラクの人。そうであれば、アメリカにとっては、一石二鳥じゃないかと、どっちみち血を流すのは、根本的にアメリカに反対している中東の人々であると。そして、そのあとに戦争が終わって、今度はイラクがアメリカの敵にまわってきた。それをしかたなく湾岸戦争で懲らしめたと。そして今度は、タリバンを育てていたんだけれども、また自分に反対されて、アメリカというのは、国を自分の支配下におこうとしているので、その国を支配している人を自分にしたがうようにはしますが、国民すべてをアメリカの思いどおりにすることはできないので、いままで起こったことというのは、たとえば、いまパキスタンはアメリカに同調していますが、その国民は全然同調していませんよね。それと同じで、結局は、成功できなかったということで、中東の人というのは、アメリカはいつも敵対していて、いつも何かを自分たちのなかで起こして、戦争が多い国ですが、その戦争の発端というのはほとんどいつもアメリカなので、他にアメリカにシンパシーを感じていることはたくさんありますが、そういう見方をもっている人はいます。
会社員・男性)世界中でアメリカに反対しているのは中東くらいというのは、まさしくそうだなと思います。日本の政府の場合には、もっぱらアメリカに追従するというまったく情けない政府になっていますが、もう少し、アメリカにたいして立ち上がっている中東の人々の源というと大げさですが、イスラムの人の同胞意識というか、そういうようなことを聞くが、その辺の実感についてお話しいただけるでしょうか。
問題は宗教の違いではなく、アメリカの行為とそれがもたらした貧困――ファティマさん
ファティマ)今回のことがイスラム教対キリスト教の戦いであるというような見方をけっこうされるんですが、私はそうではないと思うんです。宗教というのは、人々が生きていく上で、いろいろな国に根付いていて、いろいろな国に、自分たちの生き方、自分たちの生活として根付いていて、本当に文化となっているような国もある、そういうものですが、今回のことというのは、まったく関係ないと思っています。
なぜかというと、一つに、アメリカがこれだけ中東を攻撃してきた、それがイスラムがあるからアメリカに敵意をもったというのは腑に落ちないところがあります。なぜならば、そこまでされたら、誰だって相手の国にいい印象をもたないと思うんです。それと、もう一つ大きな理由というのは、やはり、中東にある中東の人々の貧しさ、それが関係あると思います。なぜかというと、日本やアメリカのようにすすんでいる国、日本でものが食べられないなんていうことが普通にはないですよね。それは、日本が非常にすすんだ国で裕福であるということを示していると思うんですけれども、はたして、中東の国全部が普通に明日の御飯がある人たちが住んでいるのかというと、そうでもなくて、もちろん全員が貧しい人たちというわけではありませんが、少なくとも、こういうことを起こす人や、アメリカをよけいに敵視し、敵意をあからさまに見せている人というのは、やはり貧しい。だって、人間というのは、お腹に入るものがあって、それから何かが始まる。それが、明日食べるものがなくて死にそうな思いをしているのに、それをすべて、根本的な理由になっているのはアメリカなんだということであれば、私は、そういうテロを起こす人たちは間違ったことをしているとは思いますけれども、そういうところに理由はあったと思います。どうして、中東はこんなに貧しいのか。それは、アメリカが戦争をしかけているからでもあるんですよね。何年かに一度戦争が起こっているところで、そんなにものが手にはいるというわけではないのです。それが大きな理由になっていて人々というのは、アメリカは自分たちのことしか思っていないという考えがある。なぜかというと、アメリカの人たちというのは、確かに今回大勢の人たちが死にましたけれども、それを大きなこととして受けとめている。もちろんそれは、大きなことですけれども、それと同じようなことが中東では本当に毎日のように起こっていて、戦争であったりとか貧しくて死んだりということが起こっているにもかかわらず、中東でそれが起こっていても、誰も何もいわない。けれども、アメリカでそれが起こると、ここまで事件が大きくなって、戦争になって、そこまでなるのはすごく違うと思います。それは人々の根本的な考え方や自分の生活習慣、そういうものが影響していて、私はそれに宗教というのは、あまり関係ないと思います。
先ほどいわれました同胞意識というのは、イスラムの中にあります。だからといって、間違った同胞が死んだからといって、その報復をしようという考え方はイスラム教にはまったくありません。間違ったことをした人というのは、イスラム教のなかでも大きな罰がありますし、それをイスラム教の人だからといって、支持するというのはありません。
日本の参戦についてどう考えるか?――会社員・男性
会社員・男性)イスラムについてのお話を聞いて大変勉強になりましたが、私が聞きたいのは、日本のことで、憲法第九条についてどう思われているのかということと、日本の平和運動についてイスラムの人たちは、知っているのかどうか、どう評価しているのか。そして、アメリカのアフガン攻撃への日本の支援、これについてどう思っているのか、この点について伺いたい。
疑問に思う、小泉総理の「アメリカ支持」表明と、日本の軍事協力――ファティマさん
ファティマ)日本の立場というのは、面白い立場だと思うと同時に、複雑な立場だと思います。アメリカと日本のあいだでかわされているいろいろな約束があるので日本は、アメリカに反対できる立場ではないかもしれませんが、でも、今回は、いままでとも違っているように思います。いままで日本はどっちもどっちという感じで、賛成もしなければ、反対もしない、結局最後には、支援をするだけと。それだけですませていた日本が、今回は、テロが起こった次の日に、朝の十時頃に小泉さんがテレビでお話ししまして、今回のことは悲惨なことだ、日本はもうすべて、できるだけのことをすると、そしてすごく、アメリカのことに賛成だというようなお話をしましたけれども、私はすごくびっくりしました。なぜかというと、どうして日本がそんなことをする必要があるのか、とすごく疑問に思いました。それは、最初は、それだけの人が死んでかわいそうだという意識で、それで日本は同調したんだというので、すんなりおさまりますけれども、やはりあとあとになって、はたしてそれって正しいことなのか? いままで日本が56年間も平和を訴えてきて、憲法九条というのがあって、これだけ、世界で最初に核兵器のダメージを受けた国として、これだけ活動していて、これだけいろんな戦争ということに反対していた国が、それが、今回これが起こって、いまの小泉総理がいて、いきなり起こったすぐ後にそういう判断をしていいのだろうかと、私はすごく思いました。
その理由をいろいろ聞くんですが、たとえば、それまで日本は判断をじらして、最後には中立であって、どっちの判断もしていないというようなことがあって、結構日本というのは、それにいい気分はしていなかったと、それで小泉さんは、日本の存在を世界に主張したいというような感じで、日本が今回のことですごく支援しているんだと、そして、金銭面の支援だけでなくて、軍事的な支援もしていきたいんだと、それほど日本は積極的なんだと、いうふうに世界にアピールしていっているんだと思うんですけど、私は、なぜそんなことをする必要があるのか、と思います。
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