いまこそ有事関連三法案を廃案に!
「有事法制と憲法改悪に反対するつどい」全発言
 (2002年6月30日 北区赤羽会館大ホール)

有事法制と運動の行く手についておおいに〃だべる〃120分 
*パネリスト
   山内敏弘さん(一橋大学教授)
   河上暁弘さん(中央大学客員研究員)
   田島 治さん(日本国憲法をくらしに生かす会)
   相原龍彦さん(憲法擁護・非核平和を進める中野区民の会)
   川田正美さん(民主主義と平和憲法を守る文京連絡会)
 *コメンテーター
   弓削 達さん(反改憲ネット21世話人)

1.パネリストからの問題提起

司会)これより、「有事法制と運動の行く手についておおいに〃だべる〃120分」を始めてまいりたいと思います。
 きょうは、急遽、平頂山事件の原告団の方々にきていただいておりますので、はじめにご発言をお願いします。

 日本政府が平頂山事件の責任を認めるまで徹底的に争います!
 みなさんのご協力を!――穂積剛さん(弁護士)

穂積)最初に、この大変な時期の集会で貴重なお時間をいただいたことを、心より感謝申し上げたいと思います。
 平頂山事件というのは、1932年9月16日、中国東北部の撫順市で起きた日本軍による住民の集団虐殺事件です。当時、撫順市には炭鉱があり、貴重な資源だということで日本軍が守備していました。そこを抗日ゲリラが襲った事件が起こるのですが、そのときに抗日ゲリラが平頂山の集落を通ってきたのです。日本軍は、ゲリラの通過を平頂山の住民が通報しなかったとして、3000人といわれる平頂山の老若男女を集落そばの崖下に集め、見せしめのために機関銃で一斉射撃を加えました。さらに、生き残りがいないかどうか一人ずつ銃剣でさして回ってとどめを刺し、その上で遺体にガソリンをかけて焼いて、最後は証拠隠滅のために崖にダイナマイトを仕掛けて埋めてしまったという事件です。
 
 そういう中で、楊宝山さんは家族全員を皆殺しにされました。楊さんはお母さんに身をもって庇われて、お母さんの下にいたおかげで助かったのですが、お母さんの生暖かい血が自分の顔に流れてきたことを鮮明に覚えているのです。楊さんは、このときまだ満九歳でした。
 そうやって生き残った方が、楊さんのほかに莫徳勝さんと方素栄さんという人たちでした。この三名を原告として、日本政府に対して損害賠償を求める訴訟を起こしたのがこの事件です。その判決が6月28日にありまして、東京地裁は日本ではじめて平頂山事件の事実を認めましたが、損害賠償請求自体は棄却しました。私たちは控訴して、国の責任が認められるまで今後も徹底して争うつもりです。
 ただ、こういう問題を解決するためには、世論の力が絶対に必要になるので、本日はそのお願いにあがりました。そして、楊さん自身が日本軍から実際に被害を受けたことから、そのような立場からいまの日本の動きをどう見ているのかということについて、楊さんから挨拶していただきたいと思います。

 日本政府に、謝罪と賠償を求める! 戦争になれば犠牲になるのは人民、
 平和憲法を絶対に改悪させてはならない――平頂山事件原告・楊宝山さん

楊)(日本語で)みなさん、こんにちは。
 (以下中国語)私は楊宝山と申します。今回は、日本政府に正義を求めるためにやって参りました。私は1922年生まれの80歳です。
 裁判では、日本政府に対して平頂山の被害者への賠償を命じないとする判決が下されました。けれども、1996年以来のこの裁判で、弁護団の方々や日本の友人のみなさんの協力を得て、事件が日本のみなさんに知られるようになりました。また、中国にきた方は平頂山を訪れ、その現場を見て平頂山事件の事実を知ってもらうことができました。そうした中でこの裁判は闘われてきました。
 私が日本政府に求めているのは、謝罪すること、そして罪を認め、事実を認めて賠償すること、それだけです。
平頂山を見た日本の方々は、非常に大きな衝撃を受けて、その悲劇を目の当たりにして帰っていくようです。

 いま日本では、憲法を歪めて戦争をしようという動きが出てきていますが、私のように実際に戦争で両親や兄弟をすべて殺された者としては、これは絶対に許せないことです。戦争がない暮らしは、本当にすばらしく幸せなものだと思います。しかし、いったん戦争になってしまうと、ただ苦悩の日々が続くだけです。そして10歳に満たないうちに親が殺されれば、それは黙っていられないことです。
 私はこれまで二度日本にきましたが、日本の友人のみなさんが私たちを励まし、支持してくれることに心から感謝しています。
 事件当時は、日本の人たちも兵士として中国に送り込まれ、そして死んでいきました。日本の人たちも、家族を失う痛みを感じていたと思います。同時に、私たち中国の人民も大きな被害を受けてしまった。つまり、戦争によって日本と中国の人民がともに大きな痛みを被ったということは明らかです。
 いま、あなた方の国には平和憲法があります。この平和憲法を絶対に改悪させてはなりません。

 戦争が人にもたらす被害、痛み、苦しみ、こういったものを忘れないために、私は日本にやってきて正義を求める闘いを続けてきました。1972年に日本と中国の国交が回復し、新しい関係が生まれました。そのときに私は、中国と日本はやっと兄弟のような関係になれたと非常にうれしく思いました。
 今日は、皆様方とご一緒できてとてもうれしく思っています。戦争に反対し、平和を守ろうという声を、大いに盛り上げていきましょう(拍手)。

 皆様方のすばらしい行いを見て、日本の軍国主義は完全に滅び去ったと思っています。しかし一部の勢力がまだ生き残り、過去を忘れきれずにくすぶっているのを感じています。みなさんと一緒に、中日友好が永遠に続くことを私は信じています。どうもありがとうございました(拍手)。 

日本国憲法の体系を根幹からひっくり返す有事法案――河上暁弘さん

河上)河上です。専門は憲法学です。この「反改憲ネット21」には最近けっこう協力をさせていただいております。最近も、「連続講座―憲法Q&A」というのをやらせていただいたり、『有事法制Q&A』をまとめるのを手伝わせていただいたりもしています。
 有事法についてのまとまった見解については『有事法制Q&A』を参照していただくことにしまして、いくつかの点だけ申し上げたいと思います。

 まず、この法案を見てみますと、とにかく分かりづらい法案です。しかし問題点ははっきりしています。
戦争のための準備、そしてそのためには人権や民主主義を制限するという内容をもっているのが有事法制です。ですから、憲法体制を根幹からひっくり返すことになる法案だと思います。

 そもそも日本国憲法は、戦争や軍事というものを一切認めない体系になっています。
これは、前文の平和的生存権とか九条の「戦争の放棄」「戦力の不保持」だけではありません。憲法全体が、戦争が一切できない構造になっています。例えば、憲法第七六条二項では特別裁判所を禁止する、つまり軍法会議がもてない。それから、開戦、講和に関する規定がない。兵役義務や徴兵制も、その規定がないのみならず、むしろ政府解釈では一三条、一八条をあげて違憲としています。あるいは、国防・軍事機密に関する例外規定がない。国防目的のための徴兵義務以外の人権制約規定もない。あるいは国民にたいする防衛義務を課す規定もない。国家緊急権に関する規定もない…。

 つまり、憲法は戦争を積極的に否認すると同時に、権力権限を授けないかたちで軍事そのものを否定している。これが「平和憲法体制」です。だから、軍事のためであれば人権や民主主義は制限するという軍事的公共性は、憲法自体が否定している。あるいは、政府は国家の自衛権を何の根拠もなく持ち出しますが、憲法はそういうものを授権してはいません。むしろ否認しているのが日本国憲法の体系である。こういう憲法体系をそっくり根底からひっくり返すのが有事法制です。

注意しなければならない〃有事法制効果〃

河上)有事関連三法案は、おそらく継続審議になるのでしょうが、しかしもう効果が出ている面があると思うのです。私はこれを〃有事法制効果〃と言っているのですが、現在、急速に広まりつつある、いざというときに軍がフリーハンドをある程度もつのは当然じゃないかという空気、人権や民主主義よりも軍事の方が大事だという空気のことです。
いくら憲法が戦争や軍隊を否認するといっても、それにとどまらず、国民の側が協力するかどうかが戦争にとっては非常に大事な問題です。今回の法案では、保管命令違反は懲役刑が科せられるという規定がなされていますが、国民はその覚悟をしてでも戦争をしないとみんなが言いだせば、戦争はできないわけです。私ももっと刑事法を学んで牢屋に入る覚悟をしなきゃいけないのかなと(笑い)。
戦争をやる場合には国民の方の意識が非常に大事だと思うのですが、しかし、もうそういうかたちでは〃有事法制効果〃がでてきている。
 
 一方で、この有事法は市民が保護される法制であるかのような誤解がありますが、むしろ軍がいかに動けるのかという法制です。だから、市民保護の法制化はない。政府は大戦中のような人権抑圧はないと言いますが、ならば戦争非協力保障法とか言論の自由保障法をまずつくってくれ、そういうものがまったくない状態で、どうして市民の権利保障ができるのかと私は思うのです。むしろ国家の側からすると、国民の中に戦争に協力しない〃敵〃がいるからこそ有事法をつくるのだと思います。

平和憲法にもとづく対案の準備を

河上)私は、このような有事法ではなく、平和憲法にもとづく対案を準備しなければいけないと思っています。
山内先生から「非核法」の問題が提起されました。
「核兵器の保有は憲法違反ではない」という答弁は岸内閣の頃からありますが、現在のように、〃「非核三原則」という政策原則も変えることがあるかもしれない、ICBMを持つことも全く禁止されていないのではないか〃という声がある中では、むしろ「非核三原則」という政策原則だけでは心許ないわけですから、非核法をつくるべきという提案は是非すすめられるべきだと思います。また、さらに私は軍事による人権侵害を一切認めない、さらにはもっと積極的に全世界の国民がひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利、こういう平和的生存権を実効あるものとして保障する法律をつくっていく必要があるのではないかと思います。

 かつて憲法学者は、八七年に『平和憲法の創造的展開』で総合的平和保障の法案構想を提起して、その目的条項の中にも平和的生存権の保障が入っています。あるいは社民党の大脇雅子議員が、平和的生存権保障基本法構想をだしています。これらをたたき台としながら、非武装平和主義のもとで、どういう平和保障をおこなっていくかを考える必要がある。今回、有事法案がでたことによって戦争や軍の問題は国民自身の具体的な問題だということがおおいにわかったと思うのです。戦争となったらどのように人権を制限されるのかが具体的にでてきたので、いま軍事的防衛論ではない政策論を議論するチャンスでもあると思います。いまこそ、こういう議論を一層積み上げる必要があると思います。(拍手) 

「殴られる人」が少ない社会をつくる覚悟が大切――田島治さん

田島)みなさん、こんにちは。「日本国憲法をくらしに生かす会」の田島です。今日は、三つのことを言いたいと思います。

ナチスの「授権法」よりひどい有事法案

田島)一つめは、外国法と武力攻撃事態法案との比較です。
『有事法制Q&A』の中の「コラム」でドイツの「授権法」の話が出てきます。
よく、「武力攻撃事態法」はドイツの「授権法」と同じだと言われますが、私はもっとひどいと思います。
何がひどいかというと、日本国憲法のなかには有事法制の根拠となる規定が一切ない。これにたいして「授権法」は、ワイマール憲法の規定によって成立しています。つまり、日本国憲法にはその根拠がまったくないにもかかわらず、このような法律をつくるという法律のつくり方は、手続き的な意味で「授権法」よりもっとひどいということです。

日本国憲法の思想を否定する有事法案

田島)また、「外国には武力攻撃事態への対処の法律があるじゃないか」とよく言われますが、それは、憲法に非常事態に関する条項があるからです。例えば、ドイツ憲法八〇条aやフランス憲法一六条などは憲法に非常事態法制についての根拠を置いています。しかし、日本国憲法にはその根拠はないのです。政治は無原則に行っていいのではなくて、憲法に従って憲法を実現するために行われるべきなのですが、そういう政治システムを根本から破壊するのがこの武力攻撃事態法案です。

 そもそも、憲法というのは、単なる法律ではありません。それは、どういう国をつくるのかという思想を体現しているものなのです。では、「日本国憲法」という憲法は、どのような思想を体現したものなのか。それは、互いに殴り合わないという思想、暴力で紛争を解決しないという思想です。この思想を土台として持っているのが日本国憲法なのです。このようにいいますと、「そうは言ったって世の中から紛争がなくなることはないじゃないか」といわれるかもしれません。確かに、紛争がなくなることはないかもしれません。けれども、それを殴り合いで解決するということをなくすことはできます。人間には知性という大きな力が与えられています。それをもって闘うときこそ平和な社会が築かれるのだ、ということです。
 それでは、武力攻撃事態法案は何を意図してつくられるのかというと、国家の独立を守る、国の主権を守ることであって、国民の安全を守るためではありません。武力攻撃事態法案の正式名称をよくよく読んでみると、「国の平和と独立の確保」「国の安全の確保」と、「国の安全の確保」に関わる文言が二回でてきます。「国民の安全の確保」という文言は一回しかでてこない。国と国民とどちらを大事に思っているか、この点からもはっきりしています。

日本国憲法を〃生かす流れ〃を促進させよう

田島)二つ目です。いま日本では、〃日本国憲法を生かす流れ〃と〃殺す流れ〃とが拮抗しています。
〃生かす流れ〃というのは、例えば、1993年にできた行政手続法。これは、私たちが不利益な処分を受ける時には、きちんと自分の権利を主張できるための法律です。
それから、情報公開法が1999年にできました。さらには、男女共同参画社会基本法、環境アセスメント法、地方分権一括法。もちろん、これらは不完全なところもありますが…。また、条約のレベルでいえば女子差別撤廃条約や、子どもの権利条約が批准されています。このような流れがある一方で、1979年に元号法ができ、99年に国旗・国歌法、組織的犯罪対策法、それから改定住民基本台帳法ができる。そして昨年、テロ対策特措法ができ、こんにち武力攻撃事態法ができようとしている。このように、いま〃日本国憲法を生かす流れ〃と〃殺す流れ〃の二つの流れがある。私たちはどちらの流れをすすめていくことが必要なのか、みなさんによく考えていただきたいと思います。

「公共性」とは、ひとりひとりを結ぶもの

田島)そして第三に、このことを考えるときに大切なことは、先ほどからお話しにでてきている「公共性」という問題です。「公共性」という言葉は、ドイツ語で「offentlichkeit(エッフェントリッヒカイト)」というのですが、これは英語の「open」、つまり「公開性」という言葉と同じです。「公共性」というのは公開されているからみんなのものになる。情報がそうですね。公開されてみんなのものになるから公共のものになるわけです。ところが、軍事というのはそれと全く反対です。秘密にして、隠しておいて、しかもそれが「公共性」だという。日本人は「公」という言葉を、「おかみ」という言葉と同義語として使ってきました。「公」という言葉を広辞苑でひくと、「大きな家」と書いてある。「大きな家」には誰が住んでいるかといえば天皇が住んでいるわけですが、それはともかくとして、そういう「公」ではなく、私たちひとりひとりが「公」、私たちひとりひとりを結ぶものが「公」「公共性」なのだ、そしてそれは、私たちひとりひとりの幸せのための公共性であって、「軍事的公共性」やあるいは一握りの人の「公共性」、ひとりの人の利益になることを公共性とは言わないのだということが、私たちの中にしっかりと根づいていかなければいけないのではないかと思います。

 殴られる人が少ない社会が求められています。いくら物質的に豊かで平和に暮らせたとしても、それが多くの殴られる人の、搾取される人の土台の上に成り立っているとするならば、それは、実はまやかしの社会です。いま世界は、南北の格差があってそういう構造になっているわけですが、殴られる人ができるだけ少なくなる、そういう社会をつくっていく、そのためには最終的に暴力というものを使わない、そういう覚悟が私たちに求められていると思います。(拍手) 

いま日本がアメリカと一緒に戦争をやっていることをこそやめさせるべき――相原龍彦さん

相原)私は国鉄の電車運転手をやっていました。労働者ですのでそういう立場からお話を申し上げたいと思います。
 私がまず申し上げたいのは、いま、有事法制に反対する側の主張として、〃いま日本を攻めてくる国がどこにあるのか〃〃攻めてくる国はない〃ということが言われ、そのような本が沢山出回っています。しかし私は、逆の本がもっと出回らないかと思っています。まあ、あんまり出回りすぎると困るのかもしれませんが、多少そういったことをみなさんも勉強するとよいのではないかと思っています。

 なぜこのようなことを申し上げるのかといいますと、この前(2月24日開催の「つどい」)もお話ししましたが、あまり同じ見方でいると、逆に、実際に相手が攻めてきた時に混乱するのではないかという気がします。どういうことかといいますと、いま国会で野党が政府にたいして「攻めてくる国があるならいってみろ」と追及しますと、政府は、確かにどこの国が攻めてくるとは明言しません。しかし、私は、政府は言わないだけで、どこかが攻めてくることを知っているのではないかと思うんですね。私自身、日本が攻められることはないとは言えないのではないかと思い始めています。なぜなら、いま日米軍事同盟で一緒に戦っている。これだけ日本がアメリカと一緒になってあちこちで戦争していれば、日本を攻めてくるところがあっても不思議じゃない、と最近思い始めています。
ですから、いま大切なのは、この日本がアメリカと一緒に戦争をやっている、これを止めさせ平和憲法を守ることが重要です。

国連に期待できるのか

相原)ところで、アメリカがいま、世界各地で我が物顔で戦争をやっていることと関連することですが、国連というものをどう考えるかということです。いま、アメリカの横暴によって、国連というのはあるんだかないんだかわからない状況になっています。私は、もっともっと国連が前にでて、アメリカなんて国連の前じゃ何もできない、というかたちにできないのかとも思うのですが、同時に、国連にはあんまり期待できないのかなとも思います。国連、あるいは、国連平和維持軍というのは今後どう有るべきなのか、期待できる道はあるのかということについて、みなさんと考えることができたらと思います。

「平和」を押しだして戦争準備がすすめられる

相原)それから、私の経験として訴えますのは、戦争が始まった頃(私が十七歳の頃ですが)、「平和」ということが前面にでていました。「平和」が「戦争」に結びつくという時代でした。どういうことなのか、若い人はわからないかと思いますが、「東洋平和のためならば、なんで命が惜しかろう」、つまり、日本の平和を永久に守りたいということで戦争をやったわけです。いま、有事法制の問題がでてきて、「国の平和の確保」とか「国民の安全の確保」とかいわれていますが、私は、戦争が始まった頃を思い出します。
 そして、そんな中で、私が一番恐れているのは洗脳教育であります。こうだと思って信じさせれば、嘘も百回言えば本当になるということで、洗脳教育は恐いなと思っています。

権力にたいする反抗心が大切

相原)少し余談になりますが、幸か不幸か、私は貧乏人に生まれまして、父親もちょっと暴力を振るっていたせいかもしれませんが、権力にたいする反抗心というものを子どもの頃から持っておりました。警察を見るとむかつきました。最近ようやく落着きましたが…。力を持って制するものを見ると本当にむかつきました。この力を持って制するという流れが大きくなると有事法制という関係になるんでしょうが、そういうものへの反抗心というものを持って私は育ってまいりました。ですから、地域で自治会長をやっていますが、威張るような人に強く反発してきました。もっとみんなの意見を聞け、と。小さいことだけれども必要なことだと思います。

外へでて訴え、行動することが大切

相原)それから、私がお伝えしたいのは、六〇年の安保闘争のことです。当時も多くの国民が国会を取り巻きました。私も動員されなくても、仕事をできるだけ早く切り上げて、独りで国会に行きました。そして、感激しました。大学教授の集会があったんですね、国会で。私は、大学の先生というのは勉強ばっかりしているんじゃない、やっぱりストを打って闘うんだなと思いました。それから大学の先生にはいろいろ教わっているんですが、単なる学者じゃだめなんです。外へでて訴える、行動する。私も、こういうふうにならなくちゃいけないと思いましたし、いまも、外へでて訴え、行動する、このことが大切なのではないかと思います。

もっと問題にすべき、原爆投下などのアメリカの横暴

相原)ところで、外へでて訴え、行動する、といいましても何を訴えるのかということを申し上げたいと思います。
 まず、はじめにも申し上げましたが、いま日本がアメリカと一緒になってあちこちで戦争をやっている。これを止める、日米安保に反対するということが大切ではないかと思います。
 戦後、平和と民主主義、平和外交、ということがいわれ、何といっても平和憲法、ただの憲法だけじゃだめで、憲法に「平和」がついた。そして、平和憲法を世界に、ということがいまもいわれています。そこで私が申し上げたいことは、日本は、広島、長崎に原子爆弾を落とされた国ですから、核廃絶を発信していかなければならないということです。私は、アメリカを敵だと思っているわけではありません。しかし、日本に原爆を落とした国はアメリカです。ですから、いまも私は、当時のアメリカの指導者と原爆を憎んでいます。アメリカは、当時の原爆投下を全世界に向かって謝罪すべきだと、私は思います。この問題を当時きちんとさせていたならば、全世界の原爆が縮小されていく可能性があったんじゃないかと思います。いま、強い国が原爆を持っておいて、よその国は持つなという。これほど矛盾したことはありません。ケンカでもそうでしょ、自分が刀を持っていて、相手に刀を持つなと、そんなケンカはない。自分も持たないから、お前も持つな、これが筋道というものでしょう。アメリカは、落とした原爆のこと、広島、長崎の人たちのことにもっと思いをはせて核廃絶の問題を考えるべきだと思いますし、私たちは、これからも大きな声で原爆の加害国をきちっと追及していかなくてはいけないと思います。
 私たちが、平和をどんどん訴える。戦争を起こさせない、みんなが仲良く、平和外交、貧困撲滅、ボランティアそういうことも含めて、がんばっていきたいと思います。(拍手) 

社会に影響を与える工夫した取り組みを――川田正美さん

川田)この前(2月24日の「つどい」)、お話ししてから四ヶ月になりますが、この四ヶ月の間に、やってきたことをお話ししたいと思います。

今のマスコミの有りようを変えることの大切さ

川田)私はせっかちなものですから、こういう物騒な法案(有事関連三法案)がでてくると、どうやれば世論を盛り上げられるのか、どうやればこういうものをつくった人たちに即効で影響を与えることができるのか、と考えました。
 昨年八月に「文京連絡会」を立ち上げてからすぐに9・11事件が起き、テロ対策特措法ができまして、年が明けて有事法案の話しがでてきました。ちょうど良い時期に会をつくったといいますか、会をつくってすぐに出番となったわけです。けれども、なかなか世論が盛り上がらず、そのために何をしたら良いかと悩みました。そこで、この四ヶ月、月並みですけども、ひとつには街頭宣伝で署名を呼びかけたり、リーフレットを配ったりしてきました。しかし、反応はいまいちです。「核兵器廃絶」などに比べると、署名の集まりも悪いし、リーフレットの受け取りも悪い。で、これはひとつには、マスコミのキャンペーンに問題があるなとも思いまして、マスコミにも直接ぶつかってみました。

 『朝日新聞』の6月17日付の「声」欄に次のような投書が載っていました。
「サッカーがすごい、いっせいに声援を送っている、何か恐ろしい気がしてくる、誰かが悪意を持って国民をコントロールしようとしたら、こんなに御しやすい国民はないんじゃないか、そういう恐ろしさを感じる」と。
また、仕事中にテレビ観戦を禁じた山形県庁に「非国民」という抗議が届いたそうですが、これなんか本当にそうじゃないでしょうか。テレビでもどんなニュースより真っ先にサッカーの話題を流していました。どの番組もそうです。こんなことは、いままでなかったんじゃないでしょうか。
 これにたいして、みんなが一生懸命がんばって集会をやって、例えば代々木公園に六万人が集まっても、たった10行ほどの記事で片づけられる。この報道のあり方にも苦情の投書がでていましたけれども、たった10行でも取り上げられただけまだましな方なのかもしれません。とにかく、こうしたマスコミにたいしてものをいいたいということで、ぶつかってみたわけです。

 お手許にお配りしました「有事法制に関する世論喚起への更なるお願い」、これをマスコミ23社、通信、テレビを含めて計30社に送りました。こういうものを送ると、必ず社内を回って目は通されると聞きましたから送りつけました。しかし、それでは足りないと、もう一度送りました。そういうことをやってきました。
 その直後、明治公園で四万人が集まった集会(5月24日)がありまして、それが『朝日新聞』で写真入りで大きく報道されましたので、これは私たちの力だなと勝手に思っているわけです(笑)。そういうことで、ものを直接申していくというのはやはり必要じゃないかと思っています。政府、国会議員に直接はたらきかけよう川田)このように、マスコミにたいしてものを申していくと同時に、有事関連三法案を審議している国会そのものに直接言いたいことをぶつけたいということでもやってきました。

 また、武力攻撃事態への対処に関する特別委員会の国会議員全50名の氏名、連絡先、選出区などが書かれたリストを、いろいろと苦労して手に入れまして、Eメールで文書を送りました。ところが、私は、Eメールを送る操作ができないものですから、職場の若い人に土日でやってくれと頼んで、やってもらいました。私は、Eメールを使えなくて良かったと思っています。味方がひとり増えたということで…。

 もう一つは、国会への請願です。これは反改憲ネット21の方や相原さんと一緒にまわりました。私は、十何年ぶりかに議員要請をやったんですけれども、大変参考になりました。いま、議員秘書が何かとクローズアップされていますね、公設秘書と、私設秘書ですか。自民党の秘書はみんなきれいでしたね。かわいい女性が厚化粧で応対している(笑)。金がある所はこういう人を雇えるんだなと思いました。しかし、その反応というのは全く空っぽで、「わかりませ〜ん」という感じで、それだけでも非常に面白かったです。それから他の所では、公明党はなかなか良く勉強していまして、食い下がるんですよ。「あなたたちは自衛隊に反対ですか?反対だったら、議論はできませんね」と、そういう言い方なんです。こちらもがんばって、反論したんですけれども、向こう側も勉強している、それと渡り合うためにはどういうことが必要なのかなと、これも非常に勉強になりました。
まわった議員、23名でしたが、私たちが思いをぶつける取り組みというのは、こういうかたちでいろいろできるのではないかと思います。

これからが正念場

川田)最後に、いまはそれでも、よくここまで来たなと思っています。といいますのも、ひと月前に拡大運営委員会をやりましたが、そのときは、いま頃はもう衆議院を通過しているだろうと、みんな非常に悲壮な覚悟だったんですね。ところが、継続審議になりそうな状況になった。ここまで来れたのはまさに運動の力だと思います。しかし、山内先生がおっしゃっていたように、秋の闘いというのは、非常に危ないですよね。
 かつて、小選挙区制が一度国会通過ができなかった時に、小沢一郎氏は、「よーし、もう一丁」と言って、本当に次の時に閣議決定という予想外の方法で通してしまいました。これからどういうようにやっていくか、本当に正念場だと思います。


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