| 2.おおいに〃だべる〃
海外の日本の「利益」を守るために有事法制は必要?
大学生・男性)
山内先生に質問です。有事法は必要という人にたいしてどう反論していくかということです。
僕は、有事法というのは国を守るためのものではなく、自衛隊が海外にでていくためのものではないかと思っています。例えば、日本が攻められた場合だけでなく、在外公館や在外邦人が危険な目に遭いそうになったら「有事」といって自衛隊をだすというようなことを言っているのはそういうことで、日本本土を守るための法律というのは、ごまかしではないかと思っています。
ところが、瀋陽の事件なんかがあって、海外にある日本大使館が攻められたら、国家主権を守るためにも自衛隊をだすのは当然、有事法は必要、というようなことをいう学生もいます。僕としては、歴史をふり返ってみても、中国侵略などが在留邦人の保護などをも理由に行われており、海外にある日本の権益を守るために自衛隊がでていくことは当然というのは、侵略を正当化する危険な考え方だと思うのですが、このように過去の例をだして説明しても「過去と今とは違う」と反論されてしまいます。ご意見をお願いします。
制限してもいい人権とは?
民主党の二四項目の修正要求とは?
武器規制などの外交努力も必要では?
「日の丸・君が代」強制にも反対を!
高校教師・男性)
まず、先ほどの山内先生のご講演の中で、前田さんの主張が紹介されましたが、前田哲男さんの主張の一つとしていわれている「業務従事命令を拒否する自由」というのは、大変危険な主張だと思います。というのは、たとえ「拒否する自由」は認められても、拒否すれば別の理由で処分されたりして、実際には拒否できなくなることは明らかだからです。それは、すでに学校でやられている「日の丸・君が代」強制をみればはっきりすると思います。「日の丸・君が代」強制を拒否した教師が処分されていますが、処分する側は「職務命令違反」で処分するのであって、「思想・信条の自由」の否定ではないといっています。それから、「拒否する自由」がたとえ認められても〃拒否することを呼びかける自由〃は認められないと思います。いまでも、輸送業者の方に、軍事演習のための自衛隊武器の輸送を拒否しようと呼びかけるビラなんかを配ろうとすると警察が、建造物不法侵入とかいって規制してきます。敷地外でやっていてもそうです。前田さんの主張は、はっきりいって甘いと思います。
「制限してもいい人権」とは?
そのうえで質問ですが、今朝放映されていた『日曜討論』という番組で、民主党の前原誠司という議員が「民主党としては、人権制限をする時に、どれが絶対不可侵の人権で、どれが制約していい権利なのか仕分けをしなくてはいけない」という趣旨のことを言っていました。これは本当におかしい。この民主党の主張について詳しい情報がありましたら教えていただきたいと思います。
民主党の二四項目の修正要求とは?
質問の二点目です。いまのところ民主党は有事関連三法案に反対していますが、その理由が、民主党がだした二四項目の修正要望趣意書にたいして、政府が半分も答えていないから反対だというんですね。それなら、政府が二四項目全部に答えたら賛成になりかねないということです。これは非常に危険なことだと思っています。もともと民主党というのは、周辺事態法がつくられたときにも、政府原案の時点ではなかった自衛隊の武器使用に関する条文を修正要求して入れさせた。「危険な場所に近いところで武器輸送をするのだから」ということで修正させたわけです。だから、民主党の修正というのは、かえって悪い方向へ行ってしまう危険性もあるんですね。そこで、民主党がだしている二四項目の修正要望とはどういうものなのか、教えていただけたらと思います。
小型武器規制などの外交努力も必要では?
それから、最後に意見を。一つには、いま、不審船の武器引き上げとか言われてますが、これらの対処はすべて警察がやるべきだと思います。それから、小型武器にかんして。六月二十五日付の『東京新聞』にベタ記事で載っていましたが、いま小型武器規制の会議というのをやっています。先ほど、「非核法」ということもでましたが、武器の氾濫防止などの積極的な平和外交というか、外交努力も必要ではないかと思います。
それから、きょう主催者が、抗議先として衆院有事法制特別委員会の議員リストを配っていますが、気になりましたのは、全部一括して「抗議先」となっていますが、リストの中の有事法制に反対している議員については「激励先」にした方がいいと思います。もちろん、「抗議先」の方を重点的にやっていくということでよいと思います。
「日の丸・君が代」のさらなる徹底化に反対を!
それから、いま、広島県の教育委員会が、「君が代」斉唱の時に起立しない教師を写真に取るとか、そういう大変恐い「君が代」強制のためのマニュアルをつくり、どんどん処分して、子どもにも強制していこうと動いています。それから、東京都の教育委員会でも横山という教育長が、「君が代の意義を教え込む」といっています。「君が代」というのは天皇への忠誠を歌っていますから、有事法に従う国民づくりのために政府としては一番やりたい道具だと思うんですね。お手許にお配りしたチラシに抗議先を書いておきました。世羅高校の校長を自殺に追いやった辰野の勤務先もあります。抗議をよろしくお願いします。(拍手)
「テロ特措法、海外派兵は違憲、市民訴訟」にご協力を!
―尾形憲さん(法政大学名誉教授)
「テロ特措法・海外派兵は違憲、市民訴訟の会」代表の尾形です。
先ほど、平頂山事件の裁判の報告がありましたけれども、平頂山三千人の人たちを含めるアジア二千万の人たちを、かつて私たちは殺しました。多大な惨禍を与えました。私は埼玉県入間市に住んでいまして、あそこには昔、陸軍航空士官学校がありました。私はそこに二年おりました。仲間の大半がフィリピン、沖縄で二十歳前後で特攻で死にました。こういう戦争の反省の上に戦後平和憲法ができた。それがこの50年のあいだにどんどん空洞化し、ついに昨年のテロ特措法制定に至り、それにもとづいて日本が参戦しました。
これは、戦後初めてのことです。
平和憲法の下において、少なくとも外国の人を殺すということはなかった。殺されたことはあります。海上保安庁の人が朝鮮戦争の時に死んでいますが、殺すということはなかった。それがいま、この現在もアフガンの子どもたちを殺す、そういう手伝いをしているわけです。絶対許すわけにはいきません、ということで訴訟を起こすことにしました。
7月11日の午前10時に埼玉地裁に集まって、10時半に提訴することに決まりました。
いま、会を支えてくださる賛同人の方は1500人程いますが、会員はせいぜい500人です。まだまだ弱体です。長い闘いになります。是非、みなさんも会員になっていただきたい、できれば原告になっていただきたい。お願い致します。
この違憲訴訟には、チャールズ・オーバービーさん、ノーム・チョムスキーさんをはじめ海外からも沢山のメッセージが寄せられています。それらをまとめて、『なぜテロ特措法、海外派兵違憲訴訟なのか』というブックレットにしました。その中では、平頂山のいまだに残る累々たる白骨の写真、それから、私たちは、同時に被害者でもあるということで広島の平和公園の峠三吉の写真などを入れました。関心のある方は、是非、声をかけてください。お願いします。
海外にある日本の「利益」を守るために自衛隊をだすことは相手国の主権侵害
山内)
外国にある日本の大使館とかがなんらかのかたちで、外部の人から侵入を受けたり、攻撃を受けた場合、それが「我が国に対する武力攻撃」だというような言い方は、従来の政府は、少なくとも一般論としてはしていませんでした。
仮に、中国にある日本の大使館なり領事館が、どこからか攻撃を受けた場合に、日本の自衛隊が中国まででていくのか、自衛隊が武力攻撃するのか、そんなことはそもそも考えられない。そんなことをやったら、それこそ中国の国家主権を侵害することになります。ですから、従来の政府は、在外の公使館等が外部から攻撃を受けた場合、それを直ちに「我が国に対する武力攻撃」とはみなしていなかった。従来は、(日本の領海外である)公海において日本の船舶や航空機が外部から攻撃を受けた場合、それは「我が国に対する武力攻撃」だと捉えてよろしいという解釈だったわけです。
それが、ご指摘のように、このかんの政府の答弁を見てみますと、状況によっては在外公館が攻撃を受けた場合、場合によっては日本自身に対する武力攻撃だとみなす事もありうると解釈を変えてきました。それは、日本の国家主権を考える以前に、そういうことをやるということは、在外公館がおいてある国自身の国家主権を日本が侵すことになってしまう、という問題がでてくるということを指摘しておくことが必要なのではないでしょうか。
民主党が今後どうなるかは大変重要な問題
山内)
前田さんがブックレットで言っていることにつきましては、微妙でよく分からないのですが、私は、少なくとも、新しい有事法というのは絶対必要ないと思います。むしろ、現行の自衛隊法なり防衛庁設置法の適用を、極力なくしていくような国際環境をつくることこそが、いま重要なことなんだと思います。自衛隊の存在を認めている人たちに話しをしていく上でも、そういう話しのしかたをしていくことが、重要なんだろうと思います。前田さんの議論も、そういうかたちで議論の立てかたとして考えたときに、意味があるのではなかろうかと思います。
それから、民主党の方で修正項目として24項目だされているということですが、手許に資料がないのでどういうことがだされているかわかりません。民主党の中にも、いわゆる良識派の議員とそうでない方とがいまして、6月16日の集会でも、良識派を自称していらっしゃる生方さんが発言されていました。前原さんというのは、どちらかというとタカ派ですか、彼が特別委員をしているので、これから民主党がどうなるかは大変重要な、微妙な問題ではないかと思います。
「軍事的公共性」を理由にして制限できる人権はない
山内)
前田さんの議論でも、有事における人権制限は認められないという議論をしていると思います。
先ほど河上さんからお話しがありましたけれども、日本国憲法のとっている平和国家体制からすれば、人権というものを、軍事的な公共性ということを理由にして制限するということは一切やってはいけない。それを制限していい人権と、制限できない不可侵の人権との仕分けをするという議論に、私は断固のるべきではないと私は思います。しかしながら、現実にはそういった議論を一部の人たちがし始めているわけです。
憲法の一般論としては、憲法の人権保障条項の中の、例えば「内心の自由」のようなものは、これは絶対不可侵の自由であり、「公共の福祉」によっても制限できない。しかし、各々の人権相互が衝突した場合とか、ある種の公共的な必要性にもとづいて制限できる人権もあるのではないかという議論がなされています。例えば、「プライバシー権」と「表現の自由」がぶつかった場合には、ある種の調整が必要になってくる。そういう調整の原理として「公共の福祉」というのはあるんだということはいえるわけです。しかしながら、こと軍事的ということでいえば、「軍事的な公共性」を理由にして制限できる人権というのを認める立場には日本国憲法は立っていません。ですから、前原さんのような議論にたいしては、そのような議論は間違っているといい続けなければいけないと思います。
南北朝鮮の「銃撃戦」事件を理由にして有事法の必要性を論じることはおかしい
山内)
それから、「非核法」だけじゃなくて、小型武器の規制の必要性もあるんじゃないかということですが、おっしゃるように、それも大変重要な課題だと思います。私の上げたのはひとつの事例でしかありません。いろいろな平和構築のための、施策なり立法なり条約提案というものをこの場で、好き勝手にいろいろ〃だべる〃なかで、良いアイデアがでてくることを期待したいと思っています。
ところで、今朝の新聞でも北朝鮮と韓国の間で銃撃戦があったという報道がでていました。福田官房長官が「重大な関心を持っている」といっておりますし、有事法制定に向けた追い風になるんじゃないかと考えているかもしれません。ああいう事件が、こういう状況の中で起きたということは、どちらに責任があるかはわかりませんが、大変不幸なことだと思います。しかしあれが、北朝鮮の意図として、韓国を攻めるとか戦争をする意図があるとかと思っている軍事専門家や朝鮮問題専門家は誰もいないと思います。それを日本がことさらに、やっぱり朝鮮半島は危ない状態だから有事法が必要なんだという方向にもっていくとしたら、それはまったくおかしな議論だと思います。
相手国の主権侵害だからといって、何もしなくていいのか?
大学生・男性)
山内先生のお話しを聞いて、海外にある日本の大使館が攻撃をされた場合を「我が国に対する武力攻撃」とみなすという解釈が、今回初めてでてきたということを、きちんと押さえる必要があると思いました。
その上で、先ほど山内先生は、自衛隊が海外に行くようなことになれば、それは相手の国の主権を侵すことになるということを指摘すべきとおっしゃっていましたが、それはそうですが、向こうが先に大使館を襲って主権を侵害したのに、それを相手の国の主権侵害になるからといって放っておいていいのかといわれると困るのですが…。
山内)
あなたが仮定している事態が想定できないのですが、例えば、ロシアにある日本の大使館に、ロシアの警察なり軍隊なりが入っていって大使館員を殺したりした、そういうケースを想定しているのでしょうか。
大学生・男性)
僕が思い浮かべたのは、その国の警察とか軍隊とかが攻めてくるというよりも、何者かによるテロというような事態というか…、厳密に聞かれると困るのですが…。
山内)
どういう事態を想定しているのかをはっきりさせることから始めることが大事ではないでしょうか…。
「在外邦人」の安全確保は現行法で対処可能
田島)
想定されておられるようなことは、多分、自衛隊法の100条の八という条文を運用して解決できる問題だと思います。自衛隊法100条の八は、何を規定しているかというと、「(防衛庁)長官は、外務大臣から外国における災害、騒乱、その他の緊急事態に際して生命又は身体の保護を要する邦人の輸送の依頼があった場合(つまり日本に帰還させるということ)において、当該輸送の安全について外務大臣と協議し、これが確保されていると認めるときは、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、当該邦人の輸送を行うことができる。」つまり、自衛隊機を使って、災害が起こっている場所に救出活動に向かわせることができるということです。ですから、新たに有事法を、武力攻撃事態法をつくらなくても、すでに現行の法律で解決されうる問題だといえます。
パネリストに女性を。有事法制反対のためにも、過去の日本の植民地支配の問題に決着を
女性)
テロ特措法の違憲訴訟のものです。同時にアジア女性資料センターで働いております。
意見を述べさせていただきます。
きょうはパネリストが全員男性なので非常に違和感を覚えます。反戦運動をやっている女性もいますので、何人か入れていただいて、女性の発言もだしていただきたいと思います。
それから、有事法制の問題がでてくる一つの原因でもあると思いますが、極東軍事裁判、あそこで抜け落ちたものがいくつかあります。一つには、女性にたいする性暴力の問題、それから、植民地主義にたいする問題です。女性にたいする問題は一昨年の女性国際戦犯法廷で、私たち女性がある程度の決着をつけました。天皇有罪ということもだしました。ところが、植民地問題、これがまだ解決できておりません。この問題については、男性のみなさんに是非決着をつけていただきたいと思います。よろしくお願いします。
さらにもう一つ。パネリストの方々のお名前が団体名ででている方もいらっしゃいます。やはり個人を重視するということで、個人のお名前をだしていただきたいと思います。
いまは反対しなくても、戦争になったらみんな反対する?
大学生・女性)
私は有事法制に反対です。有事法案読みまして、「武力行使」と明記してあるのを見てすごく驚きました。
こういう問題について、普段は友だちともほとんど話しをしませんが、大変だと思ったので、友だちにも話しましたら友だちも驚いていました。それでも、戦争になったらみんな反対するから大丈夫とか、昔みたいにはならないとかといって、何か行動をするということはしません。私も最近集会に参加するようになったのですが、友だちも誘って、広げたいと思っています。
質問です。山内先生のお話を伺っていて、「公共の福祉」のお話しのところが、大切だなと思ったんですが、むつかしかったので、もう少し説明をお願いしたいなと思います。それから、相原さんのお話で、平和のためにといいながら戦争をやるというところは、いまも似ているなあと思いました。いまの問題を考える上で、もう少しお話しをお願いします。
学生にとって有事法制は何が問題になるのか?
大学生・女性)
代々木公園に六万人の働いている方が集まって有事法反対の集会をされたというのを聞いて、働いている方というのは、有事法ができたらすぐに動員されるということで、非常に危機感が強いんだなと思ったんですが、学生の場合は、直接どうかかわるのかということがわかりにくいところがあると思います。『有事法制Q&A』でも働いている人がどうなるか、ということは書かれていますが、学生がどうなるかはでてこないようですし…。
新聞では、小泉首相が、大学を協力する機関に入れるかどうかは武力攻撃事態法を通してから決めると言ったと報道されていましたが、「有事」の時に、大学の協力というと、具体的にどういうことが問題になるのか、アメリカや過去の例などがあれば教えていただきたいと思います。
「恋人や息子を戦場に送るな」と反対することはエゴか?
「躾のために軍隊生活も必要」という意見にどう関わるか?
安達さん)
意見というよりも、現実にこういう意見があるということを知っていただきたいと思います。
私は、この中では高齢に属する人間だと思いますが、それはさておきまして、「恋人や息子を戦場に送るな」という言葉にたいして、「それはエゴだ」ということを言う女性が未だに現実にいらっしゃいます。それから、いまの子どもたちがあまりきちんと生活ができないのにたいして、「軍隊にでも入れて教育してもらえばいいんだ」という女性が現実にいることを知っていただきたいと思います。そういう人たちとどうかかわっていくかということを、みなさんに伺いたいと思います。
司会)
それでは、いままでだしていただいた質問・ご意見にたいして、パネリストの方からお願いします。
山内)
質問にたいして「こう思う」という意見を会場からもだしてもらったらいいのではないですか。
司会)
では、会場から、お願いします。
有事法制、「戦争をする国」づくりにすでに協力している大学
大学生・男性)
有事法と大学とがどう関係あるのかということですが、早稲田大学では、今年から、「大隈塾」というのができました。田原総一郎が中心になって、リーダー・オブ・リーダーの育成とか言って、塾を始めたときに小泉首相が挨拶したりしています。エリート主義でやっている授業ですから、二年生とかは成績順で受講者が決められ、受講登録した学生しか受講できない。受講証を首から提げた学生しか教室に入れてくれません(会場から驚きの声)。それで、授業では何をやっているかというと、『サンデー毎日』で暴露されましたが、阿部晋三官房副長官が、日本も「核爆弾は使える」「原子爆弾は小型なら使える」とか、「先制攻撃だってできる」とか、そういうことを講義する。そして、それが国会でも問題になり、今度は福田官房長官が「核を持てる」という発言をしましたが、これらの事態にたいして早稲田大学当局が、どういう対応をしたのかというと、授業の内容をマスコミが報道して問題にするのは「学の独立と学問の自由」にたいする侵害だ、「第二の滝川事件」だ、というわけです。これはもう安倍官房副長官の「核使用発言」を弁護する盗人猛々しい対応だと思うんですね。
「学問の自由」というのは、戦前・戦中に国家が学問に介入して大学の学問・研究が戦争に協力させられた教訓からいわれていることであって、大学が政府の人間を呼んで授業をさせること自体が「学問の自由」の否定です。それを、「核使用発言」を批判することの方を「学問の自由の侵害だ」と非難するんですから、本当に頭にきます。
こういう大学の状況というのは、政府が有事法制をつくろうとしていることに、すでに協力していることじゃないかと思います。エリートの育成ということも「戦争をする国」のエリートを育成するということで、学生がこういう授業を受けているというのは大変なことだと思います。
マスコミ報道の問題に一言いいたい
男性)
私の家では、妻が『東京新聞』を、私が『朝日新聞』をとっています。
早朝、私が『朝日新聞』を読んでおりますと、妻が「東京(新聞)にこんなの載っているわよ」といって(東京新聞を)持ってきました。そうしたら、一面のトップが例の「福田発言」でびっくりしました。寝ぼけて読み落としたかなと思って、もう一回『朝日新聞』を始めから終わりまで見てみましたが、でていないんですね。
それで、府中市に住んでいる友人に電話をかけて聞いてみたら、「でてない」というんですね。そんな馬鹿なことがあるかと思って、九時を待って朝日新聞社に電話して、広報室に「こんな大事なことを記事にしないことがあるかっ!」と怒鳴り込んでやりました。そうしたら、おとなしい女性の方が、しばらくして「でています」と。確かに二面の隅っこに小さい記事で載っていました。『産経新聞』と『読売新聞』に全然でていないことはともかくとしても、これが新聞の現状かと思うと本当に頭にきました。それで朝日新聞には電話したんですが、東京新聞にも電話しました。「これからもがんばってくれ」と激励しました。「いま、朝日新聞より東京新聞の方が一万倍くらい信用できる」と、そう言っときました。
軍隊とは何か、戦争とは何かをしっかりとらえるべき
女性)
先ほど、躾ができていないから軍隊にでも入れて躾てもらえばいいという女性がいるという発言がありました。確かにそういうことを聞いて驚くことがあります。
でも、そこはきちっと反論していかなくてはいけないと思います。例えば、本当に軍隊に入れて人間ができるのか、そこをきちっと言わないといけないと思います。先ほど伺った平頂山事件、三千人以上の何の罪もない村人を無差別に殺すということは普通の人間にできることではないですよね。南京大虐殺はなんで起きたのか、平頂山事件はなんで起きたのか。家の近所のおじいさんは、中国に兵隊で連れて行かれて「三光作戦」をやらされたらしいんです。その時に上官から何をやってもいいと言われたというんです。何をやっても許されるから前へ進めと言われたというんです。ですから、その時、彼はいろんなことをやったと実際に言っていました。略奪、暴行、殺人、なんでもやった、でも何も罪を問われなかったと言っていました。「国家の勝利」というか、大儀のためには人間を戦闘マシーンに変えていくもの、人間を人間ならざるものに変えていくのが戦争じゃないかと思います。
いまのは、かつての話ですが、現在でも、例えば、沖縄では少女暴行事件などの事件が数知れなく起きてますよね。それがどうして起きるのか。以前、沖縄に配備されていた元米兵で、いまは平和運動をやっている方が書かれたブックレットを読んだことがありますが、沖縄の海兵隊というのは地上戦、人と人とが向き合って殺し合う訓練を日常的にさせられる、そういうなかで、世界情勢が不安定になるたびに、いつ出撃命令が下るかわからないと、非常にナーバスになる。
そして、出撃命令が下るという時には、ほとんどの米兵がどうやって一晩を過ごすかというと、だいたいの人間は、街にでて、飲んだくれ、われを失うほど酔いつぶれて、朝を迎える。ほんのわずかな人間が教会へ行って、祈りを捧げる。そして、ある一部の人間は、人間性をかなぐり捨てた行動にでることもままある、というようなことが書いてあったと思います。戦場に行くのも、やはり人間ですから、それで全てが免罪されるわけではもろんありませんが、そういうふうに人間を変えていくものが戦争なんじゃないか、軍隊なんじゃないか、ということ。そこを、私たちははっきりとおさえなくてはいけないんじゃないかと思います。
防衛庁によるリスト問題を徹底的に追及したい
男性)
私は、昨年のテロ対策特別措置法による自衛隊部隊の派遣以来、防衛庁にたいして何度か情報公開請求をしてまいりました。なかなか目的とする情報がでませんで、四月までに四回くらいやったんですが、そのあいだ目的とする情報はでないで、でてきたのはいわゆる「リスト問題」でした。
まず、なぜ情報公開請求をやったのかということをお話しします。戦後の自衛隊や基地問題の裁判のなかで最高裁判所は、憲法判断回避の原則ということで、高度に政治性を有することがら、いわゆる統治行為については、裁判所は判断しないとしてきました。それは、高度に政治性を有することがらは、国民の民主制の過程を通して、国民の自己決定に委ねるべきだという考え方だったと思うんですね。私は、憲法は少数者の人権を保障した立憲民主主義であって、裁判所の違憲審査権が、立憲民主主義を担保するための制度であると考えるならば、この最高裁判所の統治行為論にも一定の理論的合理性はあると思っています。しかし、そうならば国民の自己決定権というのは、ちゃんと保障されていなければならない。そのためには「知る権利」というのがきちっと保障されていなければならない。ましていま、有事法制やテロ対策特別措置法など重大問題になっていることがあるわけですから、それを国民が判断するためには、情報公開請求権がきちっと保障されていなければならない。そうでなければ、裁判所の理論は成り立たないはずです。それで私は、情報公開請求をやったわけです。
ところが、実際でてきたのは、目的とする情報は何回請求してもでてこないで、防衛庁が請求者の個人情報を調査するという、国民監視に逆用するということだったんですね。このことは、いまの政府・防衛庁が、国民を平和憲法の下から戦争の下に引きずり込もうとしているという事実を国民の前に明らかにしていると思います。
この防衛庁による情報公開請求者の個人情報を調査しているということに関して、自分の情報がどうなっているか私にはわかりません。そこで、一度、リストについての情報公開請求もしました。自分の情報がどれだけ書かれているかわからないと、自分の損害を特定できませんので、国家賠償請求訴訟はまだできません。しかし、同時に時効も進行しないので、これが明らかになるまで何年かかっても責任は追及するつもりです。
それから、テロ対策特措法にもとづいて自衛隊がインド洋で米英の艦船に油を供給してますよね。それの購入先を明らかにしろという情報公開請求もずっとやってきました。それが六月二十五日付で、一部開示されました。購入先を証明する書類はいろいろあるんですが、振り込み銀行名とか、受取人住所氏名とか、みんな「これらを非公開とする」となっていました。私としては、国民の「知る権利」の問題と、防衛機密と、どちらが優先するのかきちっと争いたいと思いますので、この件についてご意見があれば伺いたいと思います。
マスコミは、有事法制問題をもっと報道すべき
ブッシュの世界戦略についても問題にすべき
西東京市の男性)
私も明治公園の集会とか、代々木公園の集会とかに行きました。その後、新聞がどういうふうに報道するか、一生懸命見ていたんですが、朝日がベタ記事を出すとか、NHKは報道しないとか、様々でした。
そういう意味で、文京連絡会の人たちがやったことは、非常に意義のあることだと思います。
ただ、マスコミ宛にだす場合に、誰宛にだしたのか。
社長とか副社長にだしてもダメで、むしろ出版労働者とか、放送労働者とか、そういう人たちに呼びかけていくことが必要じゃないかと思うんです。NHKなんかは高い聴取料をとって大リーグの放送を毎日のようにやっていますけれども、あんなことよりもわれわれの明日の生活に結びつく有事立法の内容とか、反対運動がどうなっているかということを報道することこそが、情報を公開するのと同じように出版労働者の使命だと思うんです。それを怠っていることにたいしてはクレームをつけなければならない、そういう運動を起こすべきだと私は思います。
それともう一つ、有事立法に関連してですが、これは何といってもアメリカのブッシュの世界戦略の一環の中からでてきている話しで、その辺のところをもっと調べて、みんなにわかりやすく明らかにしていく。アメリカの言いなりになっている小泉のいまのやり方、ここをもっと暴きだすことも大事かなと思います。
「真の有事法制は必要」論をどう考えるか?
大学生・男性)
基調講演から法律のお話しばかりで難しいなと思って聞いていました。僕は心で動く人間なので、中野の方と文京の方は実践を重んじるということをおっしゃっていたことに親近感を覚えました。
アメリカの「対テロ戦争」に協力するために日本は昨年秋から自衛隊をインド洋に派遣しましたし、いま有事立法を決めようとしている。さらには憲法の「改正」まで視野に入れて着々と準備をすすめており、僕も、日本が軍事大国化するための有事法には絶対反対したいと思って参加しました。
ところで、僕の周りでも政治の話しができる友だちはそんなにいないのですが、有事法制の問題をめぐって話しをしましたら、いま国会で審議されている有事関連三法案は、自衛隊が海外にでていくためのもので、侵略する可能性も孕んでいるので良くない、しかし、「真の有事法制」、つまり、日本の国土とか、日本の国民を守るためだけの有事法制という考え方はあってもいいんじゃないかという意見がでました。この、いまの有事三法案には反対だが、「真の有事法制」は必要という主張、これについてのご意見を相原さんと川田さんに是非伺いたいと思います。
「教科書」にみる出版関係者のがんばり。組織の運動を全体の運動に広げることが大切――川田正美さん
川田)
まず、西東京市の方のご指摘についてですが、痛いところを突かれたな、という感じです。マスコミのどこ宛にだすか、確かにそうなんですね。私たちの場合は、リストを把握するだけでも精一杯になってしまって、とりあえず政治部宛にだしました。ちょっと雲をつかむような感じだったんですが、五月三日に日比谷公会堂で行われた憲法集会で暉峻淑子さんが、どんなものでも出せば必ず目を通す、社内をまわるということをおっしゃっていましたし、同じことは他からも聞いたことがありましたので、それに力を得て、政治部宛で出しました。
それから、私は出版労働者です。出版にたいする先ほどの厳しいご指摘は、まったくその通りだと思います。
私の勤めている会社は、教科書の編修もやっているものですから、先日私は、教科書センターに行ってきました。
ちなみに、行ってきたのは5月1日のメーデーの日です。
なにしろ、教科書センターは、土日が休みで平日も午前九時から午後五時までしか教科書を公開していませんし、場所も江東区です。いくら、新しく検定を通った教科書を全部閲覧できるとはいっても、学校の先生や私たちのような勤め人にとっては非常に無理な話でして、メーデーで昼には終わり、デモの解散地も近くだったのでようやく行くことができたわけです。
そこで、主に「現代社会」ばかり見てきたのですが、桐原書店と実教出版の教科書に感銘を受けました。特に実教出版の教科書では、文部省がかつて出した『あたらしい憲法のはなし』、これは隠れたベストセラーだと思うんですが、その中の「戦争の放棄」という一項――これから先日本には陸軍も海軍も空軍も無いのです。これを戦力の放棄といいます。放棄とは捨ててしまうことです。しかしみなさんは決して心細く思うことはありません。日本は正しいことを他の国より先に行ったのです。世の中に正しいことぐらい強いことはありません。――を掲載しています。この文章は、素朴であるけれども、まさに原点という気がします。高校の現代社会のコラムに載せているんですね。
それから、これも実教出版ですが、最新の問題も取り上げていて、「有事立法」という一項もありました。その内容は、――現在でも既に自衛隊法や安全保障会議設置法など存在しているが、政府や防衛庁当局はそれだけでは不充分であるとして、より総合的な有事立法の検討が必要だとしている。緊急時に備えて必要だという意見もあるが、立憲主義を崩壊させる危険が大きいという批判も強い。なお政府は有事立法の検討に際しても戒厳令や徴兵制等を考えていないとしているが、この点にも疑念が出されている。――です。初めの原稿の段階ではもっとストレートに書いてあったのかも知れませんが、それにしても、ここまで書いてよく検定に合格したなという思いが致します。
出版社の編集者も著者も、こういうところでがんばっているということがわかると思います。出版労働者としては、一生懸命街頭宣伝をしたり、抗議のはがきを送るとかやっていますが、組織労働者だけに限られてますから、もっと全体の運動にしていかなければといつも思っています。
戦争になれば反対できなくなる。まだ平和ないまこそ戦争反対の闘いを!――相原龍彦さん
相原)最初に、先日行われた中野区長選のことを少し申し上げます。
大変お世話になりました。全国的に注目を集めていたのではないかと思っています。
私が推した候補は、残念ながら五〇〇票足りず次点でした。あと二日あれば勝ったのではないかともいわれていますが、投票日が近づくにつれて非常に盛り上がりました。駅頭の宣伝行動はまるで国会議員並みなんてもんじゃない、ものすごい人出でした。
それはなぜか。
区長選で第一に掲げたことが有事立法反対だったんです。
つまり、戦争反対です。国民が平和で幸せに暮らさなきゃならない、自治体が国政にものを言わなければだめなんだということです。あれだけの追い上げを新しい区長も無視するわけにはいかないと思います。この力を忘れてはいけないと思っています。
それから、先ほど、きょうはパネリストに女性がいないというご指摘がありましたが、女性の平和運動の力というのはすごいです。中野区の女性は、真面目さも真剣さもある。始めると夢中になる。女性に学ぶ、若い人に学ぶ、というのが私の考えです。
それから、平和なときこそ戦争反対の闘いが大事だということを申し上げたいと思います。戦争が始まってから戦争反対といっても遅い。もちろん、反対しなければなりませんが、大変です。戦争反対なんていったらぶち込まれます。その怖さを私も知っています。戦争中、私は兵隊に志願しませんでしたが、友人の中には志願した人がいます。「日の丸」の小旗が降られてわっーと言われると、志願したくなります。それ以外のことは考えない。私も、志願しないで親に悪いことをしたなと思ったものです。自分が志願しないことによって親に迷惑をかけるかな、と。戦争はそこまで人を狂わせてしまいます。平時の時は、みんなでゆっくり勉強して考える機会もありますが、いざ戦争になって、「負けちゃいけない」となると人間というのは狂ってしまうんです。自分の基礎がしっかりしていても、「戦争へ行かないのは非国民だ」とみんなからいわれれば、動揺し変わってしまうのかなと思います。だから平和な時こそ反対の闘いが大事なんです。
また、他の人に働きかけて説得するということはなかなか難しいですよね。私もよく話すのですが、日常からどういうかかわりを持つのかが大事だと思います。
大事なのは、相手のなかに飛び込んでいくことです。相手が有事立法賛成なら遠慮なく理由を聞いて、「僕はこう考えるけど、あんたも考えてよ。僕も学習するけれど」と。このことを心がけて僕はやってきました。時間はかかりますけれども、頑張りましょう。私もがんばります。
男性)
受付でもらった『憲法とくらしと』(「日本国憲法をくらしに生かす会」の会報26号)に面白いことが書かれてありました。私は戦争を体験した〃熱いおじんの思い〃を話したいと思います。
(会報の3ページに)「天地御代の君と親の恩を味わえ」と書いてありますが、これは正確ではありません。
正確には「箸とらば、天地御代の御恵み、君と親とのご恩味わえ。いただきます。」と言わされて私は弁当を食べました。教室に二重橋の絵が飾ってあって、天皇を拝んで弁当を食べたのです。それから「丈夫な体をもって早く立派な兵隊になってお国のために戦って、天皇陛下の御ために名誉の戦死をできるような日本人になりなさい」といつもいつも言われて、肝油を食べました。これが給食です。
労組が地域で市民団体と一緒に有事法制反対
職場や地域から運動を積み上げ大きな運動へ!
教師・女性)
私の地区の教職員組合で六月中旬に、全組合員で集会とデモを行いました。「平和都市をつくる会」や「白いリボンの会」などの市民団体の方と一緒に、二千人近くの人と二キロのデモをやりました。職場の旗をみんなで引っぱりだして掲げて、プラカード、傘にデコレーションなどをして、「有事法制反対」「海外派兵反対」「憲法改悪をさせないぞ」と大きな声をだしてやってきました。
それができたのは、「組合の大会で『大変だから反対していこう』という意見をどんどん言っていこう」と職場で話しをしてきたからです。中には「攻めてこられたら心配」という意見があって、「でも武力攻撃事態法をよく見て。攻めてきたら何とかということではなくて、首相が判断すればいつでもどこでも攻めることができる。そういう侵略の法律でしょ」ということを一つの論点として、みんなで意見を言ってきました。
組合の執行部も、スローガンの中に「有事法制反対」を入れるという修正案を受け入れ、具体的な行動もどんどん提起してくれるなかで、積極的に取り組んできました。やはり労働者が武器をつくったり、運んだり、使ったりしなければ戦争は起きないし、そういう戦争は必要だという教育をしなければ戦争は絶対起こらないと思うのです。だから、現場でたたかうことがすごく大事だと思います。頑張っていきたいと思います。(拍手)
ただ、不安なのは、日教組の執行部は「平和フォーラム」の集会の動員はおろすのですが、5月24日や6月16日の集会の動員はおろさないのです。だから私たちは「できるだけ行きましょうよ」と呼びかけて参加するのですが、別々に集会を開くのではなく、一致団結して十万人くらいの集会をやるつもりで、職場からどんどん意見を言って頑張っていきたいと思います。(拍手)
武器をなくそう!
公共性・公開性と軍隊は絶対に相容れない
男性)
昨日の韓国と北朝鮮との海上での銃撃戦は、結局、双方とも武器を持っているから死者が出るのであってここが根本問題だと思います。
私は中野区民で、高山さんに投票しました。有事法制の国会にたいするショック療法のためです。
「公共性」と「公開性」は軍隊とは完全に相容れないからまずいと思います。
先日、日本がサッカー・ワールドカップの試合で勝ったときに高田馬場駅前で「日の丸」がなびいていました。それを見てヒトラーの「世紀の祭典」を思い出し、鳥肌が立ちました。手短にということですので、以上です。
私の大学でも有事法制賛成の授業
具体的な現実から出発した議論が大切
大学生・女性)
大学と戦争のつながりということについて言いたいと思います。
私が通っている津田塾大学は、戦前・戦中、体育館は兵器工場にされ、グラウンドは日本兵の食糧確保のための畑にされました。それらの経験を教訓として戦後はリベラルな大学となったのですが、最近は、授業のなかに「平和研究」というのがあり有事法制賛成という授業をしているんです。私はビックリしたのですが、大学がおかしくなってきていると思います。
それから、議論の最初に国家の主権が侵害されて何もしなくていいのか、という意見についてどう考えるかという議論になりましたが、このことを議論する場合には、具体的な現実から出発して考えた方がいいと思います。例えば、去年の秋に日本が自衛隊艦隊をインド洋に送ってアメリカやイギリスの軍隊を支援しています。この日本の自衛隊に支援されたアメリカ軍やイギリス軍がアフガニスタンを空爆したり、地上戦を行っています。さらに、アメリカはイラクも攻撃するといっていますし、実際に攻撃を始めたらそれはイラクの主権を侵害することになります。そういうことに日本が協力しているし、しようとしている。こういう現実から出発して考える必要があると思います。
「公共の福祉」とはみんなの幸せ
戦争ではなく、貧困や差別をなくすことが大切――田島治さん
田島)
「公共の福祉」に関連して、先ほど「恋人や夫を戦場に送るな、というのはエゴである」という発言がありました。「公共の福祉」とは簡単にいえば、みんなの幸せだと思います。確かに、みんなが戦争に行く時に、一人だけ行かないとしたら、それはエゴと言えるのかもしれません。実際に明治時代には、「『家』を守る」という名目で、金持ちは金を払って徴兵を逃れられました。しかし今、誰も戦争に行かないときに、戦争に行かないことがエゴとはいえません。外国はみんなやっていると言われますが、血を流すことと汗を流すこととを混同してはいけません。今、私たちが世界二百カ国の「公共」のためにできることは、血を流すことではなくて汗を流すこと、貧困や差別をなくしていくことだと思います。
昔の憲兵を想起させる「防衛庁リスト問題」
有事法は戦争政策に反対させないための法整備
「常識」を疑うことを否定する有事法――河上暁弘さん
河上)
防衛庁は、防衛情報に関して公開請求した人をリストアップしましたが、ああいうリストは思想調査をしないとできないですね。それは、言ってみればかつての憲兵みたいな話です。
ある国会議員が「情報公開を請求した人の中にテロリストがいたらどうするんだ」と暴言を吐いたそうです。こういう発想で国民を見ていること自体が大問題だと思います。だいたい、「テロリスト」がわざわざ名前を書いて「是非公開して下さい」なんという探り方はしないですね。しかし、こういうことがあっても、防衛庁長官のクビが飛んでません。僕は新聞を見て「中谷元防衛庁長官」と書いているから辞めたのかなと思ったら、あれは「中谷元」という名前だったんですね(笑い)。これは、早く辞めてもらわないと困ります。しかも、そもそも彼は文民ではないから、防衛庁長官をやっていること自身が憲法違反だと思います。
大学における教育の問題がありましたが、「戦争になったらみんな反対するだろう」と言う人がいます。
しかし、「戦争になったら」というのは、どこの時点で、誰が反対するのか。
むしろ反対できないようにするための法整備が有事法です。大学もその中に組み入れられる可能性があります。
いまの段階でも「軍隊に子どもを入れて躾直せ」という声があるようですが、軍隊は人を殺す教育をするところです。それが躾となるのか。だいたい、そういうことを言う人は自分は戦争に行かないんですね。これは、与謝野晶子も言っています。「すめらみことは、戦ひに/おほみづからは出でまさね/かたみに人の血を流し/獣の道に死ねよとは/死ぬるを人のほまれとは/大みこころの深ければ/もとよりいかでおぼされむ」と。素晴らしい、まっとうな批判だと思います。
民主主義は、いまある政治の状況を疑うことから始まるわけですし、学問も常識を疑うところから始まります。そういう意味で、ちゃんと理屈をもって、いろんなものを批判でき、時には逆らうことができる、そういう人間をつくることが教育なのに、軍隊では命令と上下関係は絶対ですから、まさにその反対です。僕のように腕力もない、運動だってそれほどできない人でも、生きる位置が与えられるのが今の平和な状態ですが、有事法はそういうものをなくすものですから、日々学問・研究を行うべき学生にとってもまさに自分たちの問題そのものだと思います。
大学が有事法制定の加担者にならないように努力したい
戦争や軍隊の非人道性、非人間性を把握することが有事法反対の原点
情報公開法の非開示条項を現実に運用させない運動を――山内敏弘さん
山内)
大学に身をおくものとして、大学が有事法制定への加担者にならないように私なりに努力してきたつもりです。これからもそうしたいと思います。
きょう、平頂山事件の原告の方がいらっしゃったのは大変貴重なことだと思います。戦争はやはり人間を人間でなくするものだということ、軍隊の非人道性、非人間性が、きょうの集会であらためて確認されたのではなかろうか。やはり、有事法反対の原点はそこにある。そういう軍人が戦争を行うための有事法に「真の有事法」は基本的にはあり得ない、と私は考えます。ただ、そのことを私たちの側から積極的に提示すると同時に、戦争をなくすための具体的な対案をだすこと、同時に、他面において、自衛隊の存在を認めている人たちにたいしても私たちが対話を続けていかないといけない状況にあると思います。
それから、「知る権利」と防衛情報についてつけ加えます。現在の情報公開法は、国の安全にかかわる情報については他の情報以上に、行政機関、防衛庁長官の判断でこれを非開示にすることのできるような規定になっています。私もずっと前に反対の論文を書いたのですが、この情報公開法の運用面において、非開示条項を現実に運用させないような運動を展開していくことが意味があると思います。「公開性」が「公共性」の本来の意味だという話しが先ほどありましたが、その通りです。そういう観点からすると、どんどん防衛情報開示の請求を今後ともしていただければと思います。
活発な議論を通じて、言うべきことを言えるようになろう!――弓削達さん
弓削)
みなさんのご発言を一生懸命聞きました。なかなか面白かったと思います。
きょうのような活発な議論を、これからもすすめられればと思います。
活発に議論をすることが学生さんが成長することにもなるのです。活発な議論をして、これからの日本の将来にちゃんと言うべきことを言えるようになってほしいと思います。どうもありがとうございました。
閉会あいさつ
佐々木順二さん(「日本国憲法をくらしに生かす会」代表)
いま、確実に有事法制について真剣に考える人が増えている
若い人は、もっと理屈っぽくなろう
「有事法制は必要」という人に話しかけ運動をさらに大きく!
佐々木)
みなさん、きょうは都内各地で開かれている沢山の催しのなかから、この「つどい」を選んで足をお運びくださいましたことに敬意を表したいと思います。受付でお名前を書いてくださった方だけでも139名が参加しております。みなさんとともに喜び合いたいと思います。
国会に有事三法案が上程されて以来の動きをみると、私はいつも安保闘争を想い起こします。安保闘争の時には、小泉首相の派閥の源流であったA級戦争犯罪人である岸信介が首相でした。私たちは単に動員だけではなくてデモ、集会をくり返しました。何十万人という人が国会議事堂を包囲したこともあります。その時に、岸首相は「後楽園球場は一杯ではないか」と言っていたのです。
しかしみなさん、ワールド・カップの中で日本も燃えていたときに代々木公園には六万人が集まりました。きょう現在、小泉首相は〃ワールド・カップでみんなが燃えているではないか〃と言って、私たちの運動を非難、攻撃することはまだしておりません。それは、相当大きな変化だと私は思います。ワールド・カップは老若男女を問わず、テレビを見たり競技場に駆けつけるが、やはり有事法制についても真剣に考える人が増えている、と私は指摘したいと思います。
私は、若い人の発言を聞いて喜びをもっています。やはり私は、若い人は理屈っぽくなってほしいです。いろんな疑問があったときは議論をしていく。それも理屈っぽくやる必要があると思います。その中から新たな取り組みがでてくるのです。
運動をすすめるわれわれとして、自分の周りに有事法制はわかった、という人をつくるだけでは不十分だと思うのです。「有事法制は攻めてくる国があるから必要だ」という人がたくさんいるほうが論議が活発になり、運動の前進にとっては、大きく勇気づけられると思うのです。そういう人たちに話しかけていって、疑問をだしてもらい、まともに論議する相手になる。こうすれば運動は成功すると思います。
きょうはみなさん、ご多忙中のおりにいろいろ協力していただきまして、主催者を代表して厚く感謝したいと思います。どうもありがとうございました。
このつどいで採択した集会アピールはWhat's
New!のページに掲載しました。
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